YouTubeで最近気に入っているチャンネルががある。それは、出勤前の朝ごはんなどを取り上げている動画で、92歳の現役のバレリーナの朝食や99歳の画家の朝食。最近だったら、88歳の遅咲きの社長の食事などを見ることができる。

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どれも伝説級の方々の食事内容を取り扱っているものになる。そんな動画をなぜ自分が見ているのか? というと、わたしはとっても色が細いのだ。例えるならば、1人前の弁当が完食できない。あと一口のところまでは辿り着けるけれど、それ以上がなかなか進まない。大体、朝は飲み物だけ……という日になってしまう。

そんな自分の考えが変わったのは、「体力をつけよう!」と、パーソナルジムに通い始めてからだ。大学を卒業した頃の話で、卒業に必要な制作物を仕上げなければいけないのに、すぐに疲れてしまって、やりたいことが終わらない日が多かったのだ。
ご飯は1日の中で食が限度なのに、夜は飲みに行ってしまう。お酒が好きなのに、これじゃあ体がドンドン悪くなっていく一方だと思い、バイト代を叩いてジムに行くことにしたのだ。

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肉体改造というと大それた言い方にはなるけれど、そのくらいの気持ちで1ヶ月に2キロの減量を始めることにした。女性の身体で無理なく痩せるには、そのくらいが良いと教えてもらった。
そんな時、「なかなか筋肉がつかないんです」と、トレーナーの方に質問することがあった。体質的に筋肉がつきらい人がいるという話は聞いたことがあるが、それにしても……と心配になったのだ。トレーナーさんは「朝から何を食べてますか? 夜にかけて、どんなものを食べたり飲んだらしているとか?」と聞いてくれた。

わたしは上記の通り、色が細くてなかなか食べられないことに加えて、肉が苦手だったり、いわゆるタンパク質全般が苦手だったりすることを伝えると「朝ごはんをしっかり食べましょう。夜は頑張らなくてもいいです。朝にコーヒーを飲むと、カフェインで胃が刺激されるので自然と食事量が増えていくと思いますよ」と、教えてもらえた。

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朝に起きることは苦ではなかったし、早起きをして「朝活」をすることに憧れがあったので、さっそく実践してみることにした。とはいえ、自炊は得意ではない方だったので、志だけ高くして、少しの手抜きをするのである。

わたしは、喫茶店のモーニングセットや、すき家や松屋といったファーストフード店の朝ごはんを何ヶ月か食べてみることにしたのだ。
そうすると、自然と腿やお尻あたりの大きい筋肉はつくようになってくる。相変わらず少食だけれど、1日2食は食べられるようになってきた。豆腐や納豆は苦手ではなかったので、そこからタンパク質をとることにした。

そんな生活を続けていくと、「もっと良い食事をしたい」という気持ちに、自然と自分も変わってくる。気軽にYouTubeを検索して、人がどんな朝ごはんを食べているのか気になってくるもので、冒頭の通り結構な影響を受けるのであった。

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ちなみに、自分の中で「影響されやすいこと」は、長所だと思っている。なので、「長いものには巻かれてしまおうスタイル」で、伝説の朝食を自分のペースで真似しつつ、少し飲み物を増やして朝を過ごしている。

人より少しだけ早く起きて、コーヒーを入れ、好みのジュースを用意する朝は、たとえようもない幸福な1日を迎えられるのだ。次に実践してみたいのは、朝ごはんを2回に分けて食べるというもの。他の人より食が細いなら、胃に入りそうな美味しいものを少しずつ自分のペースで食べていきたいと考えている。