職場だからってとりつくろわなくていい。素の自分で働く楽しさ

私は会社でも割と素の自分を出せているつもりだ。部署を異動したての頃や、初対面の人には気を遣うこともあり、控えめな人と思われることもあるかもしれない。しかし時間が経ち、ある程度コミュニティに慣れてくると、いつのまにか素の自分で接している。
素の自分でいられることの利点の1つに、業務上発生した愚痴をチームの人にこぼして、その場で解決策をもらえるときもあれば、ただ聞いてもらうだけでも気持ちや気分が楽になるということがある。家に帰ると家族がいて、話を聞いてもらえればいいが、独り暮らしの私は、もやもやしたことをすぐに解消できるのはとてもありがたい。
素の自分で働くことが普通だと思っていたので、それ以外の選択肢があることを知らなかったのだが、大学時代の友達は、会社では大人しい人を装っていると言っていた。業務中は話しかけにくい人になっていると思うと言っていた。もちろん最低限のコミュニケーションはとるが、テンションは高くなく、どちらかというと低いところを保っているそうだ。
あまり女性がいない環境だということも影響していると思うが、昼休みもあまり人と喋らないし、ひとりでごはんを食べていると言っていた。寂しくないのかと聞いたが、昼休みは大抵スマホを見ているし、会社の人にそれほど興味もないと言っていた。
私の場合、昼休みはできるだけ誰かと喋りながら食べている。会議が重なって昼休みが短く、デスクで食べざるをえないときも、隣に座る上司と業務と関係ないことを喋りながら食べている。
昼休みに誰かと食べるとなると、自分のプライベートのことを喋らないわけにはいかない。
プライベートをある程度明かすから結果的に仲良くなれる節もあると思う。
恋愛の話やスーパーの野菜の値段の話、電車の混み具合といった取るに足りない雑談から、仕事でうまくいっていない話までなんでも話す先輩がいる。部署異動してからの仲だが、今ではすっかり 仲良しで、くだらない話題(面白い打ち間違いの話など)を教えてくれる。
前の部署のときは、忘年会という名目でクリスマスパーティーを、新居を購入したチームメンバーの家で開催した。チームの1人でも湿っぽいと思う人がいれば実現しなかったかもしれない。全員が準備段階から当日の移動手段を含めた段取りまで楽しんで行っていた。結果的にとても楽しい思い出として残っていて、元々仲が良いチームだと自負していたが、より仲が深まったように感じる。
これまでも素の自分を出すことに対する恐怖は多少あったが、楽しさの方が上回るこの経験があるから、今も会社で素の自分が出せているのかもしれない。
交流は仕事での付き合いに留まらず、前のチームの先輩とは飲みに行ったり、私が部署異動した今でも、優雅にアフタヌーンティーを楽しむ仲である。
素の自分が出せるということは、そのコミュニティを自分の居場所と思えていて、安心感を得ているということだと考える。もっと自分の家や家族以外の前でリラックスできる場所が増えるといいなと思う。
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