昨年の4月に部署を異動した。
担当する業務が180度変わり、同じ会社にいるとは思えず、まるで転職したかのように感じた。これまでの3年のキャリアが嘘のように、まるで新入社員のように右も左も分からなくなってしまった。
新入社員であれば気軽に何でも質問がしやすかったけれど、ある程度社歴を積んでおりチームには後輩がいたので、プライドが邪魔をして、簡単な質問もできなかった。実際は、何が分かっていて何が分からないのかも分からないというカオスな状況だった。

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そうこうしているうちに前の仕事の引継ぎも落ち着き、本格的に新しい業務が増えて、解決できない疑問が増えた。作業を進め始めても分からないポイントが出てきて、仕事が回らなくなった。それと同時に仕事が辛くなった。
週2回の出勤日は、会社には行けるのだが、自席に座っている間は冷や汗をずっとかいていた。何かをやっている姿勢を見せなければと正体不明のプレッシャーを感じて、ずっと気を張っていた。
やることが沢山あるのだが、集中して進められず、アウトプットがなかなか出せない自分に苛立ちを感じていた。
頻繁にため息が出たし、やらないといけないことが山積みであるのに、なかなか作業の一歩目を踏み出せなかった。かなり追い込まれていたんだなと、今振り返ると分かるのだが、当時はがむしゃらだった。

今年の4月になって年度が変わったとき、ふっと肩の荷が下りた気がして楽になった。
1日前まで担当していた業務を引き続き行なっているだけのはずであるが、急に気持ちに余裕が生まれた。異動1年目を乗り切ったんだという気概が、私を一段上のステージに連れて行ってくれた気がした。

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先日、別のチームの課長と話す機会があった。部署が変わって、業務も変わって、決められたスケジュールについて行くのが大変だったと不安を吐露した。
与えられた課題が解決できないことを伝えると、
「課長から部下には、ちょっと背伸びをしないと解決できない課題しか与えていない。課題を乗り越えたら、新たに課題が積まれるだけだから、今を精一杯頑張れ!」
と返ってきた。
その言葉から、仕事に追われていた時は、一人で立ち向かっていたように感じていたが、色んな人に見守られ、助けられていたんだなと実感した。
上司は厳しいが、フィードバックされることは勉強になることばかりで、愛を感じた。チームの人も皆良い人で、私の要領を得ない質問にも、根気良く付き合ってくれた。

だからこそ、逃げるようで嫌だったというのもあるが、転職したいという気持ちはなかった。しんどい、辛いと思いながらも、目の前の課題をこなし続けることで、高い壁を乗り越えたという感覚を知ることができたように思う。

今また仕事の波が来ていて、繁忙期に突入している。
一番しんどかった去年一年を乗り越えたので、今回の波も何とかして立ち向かおう。そう思えるほどに、去年しんどい思いをしたことは、私の中で自信という形で根付いているのだなと思った。