高校二年生の冬、私は思い切って「友達と遊ぶ」のをやめた。

誘いも断って、空いた時間を全部、勉強に注ぎ込んだ。なんとなくじゃない。私は必死だった。「なんでそんなに頑張るの?」友達にそう言われたとき、私は適当に理由をつけて笑って流した。ほんとは、ただ焦っていて、勉強も進路も、自分だけ取り残されるような不安がいつもあったから。

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高校二年の終わり、私は韓国の大学に進学したいと思うようになった。
「でも、私の学力や成績じゃ正直厳しい」と思った。学校の成績は中の下だし、肝心な韓国語は中途半端。そんな不安定な状態での「海外進学」それは私にとってあまりにも“背伸び”な目標だった。
周りに海外進学を考えている人はいなくて、「韓国の大学に行きたい」なんて言うのが恥ずかしくて、しばらく誰にも話せなかった。

それでも、何もしなければ何も変わらないと思った。まずは学校の学業に専念するのとほぼ同時にTOPIK(韓国語能力試験)の勉強を始めた。
参考書はすぐに付箋紙や書き込みだらけになったし、授業中も帰りの電車も、バイト終わったあとも、スキマ時間を全部勉強に突っ込んだ。それでも成績は思うように伸びなかったし、過去問を解いても目標の点数に達しない。「なんでこんなに頑張ってるのに…」と何度も思った。でもやめなかった。

勉強って、誰かに結果を見せるためにやってるわけじゃない。だけど結果が出ないと、自分を信じられなくなる。友達が楽しそうにしてる横で、私は参考書を開いた。ちょっとだけ寂しかった。だけど、あのときの孤独が、私を強くした。誰にも気づかれなくても、私は私なりに、もがきながら前に進んでいたのだと思う。

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ある日、私は母に勇気をだして行きたい大学のプレゼンをした。「韓国の大学、いいんじゃないか」と言われた。その一言で、私は背中を押された気がした。背伸びして、無理をしてた私を、初めて肯定してもらえた気がした。

そこからは、明確なゴールができたことで勉強の質が変わった。成績は中の上、韓国語はTOPIK5級を目指して、計画的に進めるようになった。今まで「なんとなく」やっていた勉強が、「意味のある努力」になった感覚だった。勉強がただの義務じゃなく、自分の夢につながる実感ができたのだ。

やがて、TOPIKの5級に合格した。学校の成績も好調だった。嬉しかった。大げさかもしれないけど、世界が変わった気がした。何より、「私、やればできるかもしれない」と初めて思えた。

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振り返れば、全部「背伸び」だった。
できるかどうか分からないことに、必死でしがみついていた。でもその背伸びが、今の私を作ったと思う。
少し無理をしてでも、自分に期待してみること。怖いけど、それが私を前に進ませてくれた。

背伸びは、きついし簡単じゃないけど、成長への近道だと思う。
これから先、もっと大きな壁が出てくるかもしれない。私はまだ何者でもない。でも、“背伸び”を繰り返すことで、いつか本当に背が伸びたように、自分の理想に届く気がする。私はまた背伸びをして、乗り越えていこうと思う。
「背伸び」は、時に人を強くするものだ。