スマホがなければどんなにいいだろうと毎日思う。それでも離れられない

スマホ依存に悩む私としては、もちろん「夏のスマホ24時間離れてみようチャレンジ」を実施した。
結果、3時間で終了した。
目標を20時間以上も下回る挑戦だった。
気づいたら、「まあいっか、スマホって必需品だもんね。かつてはなかった車や電話が必需品になったみたいに、現代にスマホは必要だからしょうがないもんね。」という思いのもと、溜まったメッセージに返信をし、Xの懸賞にせかせかと参戦していた。
私は、スマホは悪だと思っていた。どうも手が止まらない。
一度手に取ったらスマホに張りついてしまってどうしようもない。10分でやめようと思っても、もうちょっと、もうちょっとと延長戦を重ねてしまう。時間を吸い上げ、承認欲求を増幅させ、嘘か真かわからない情報に放り出す長方形の電子機器だと認識していた。
どんどん新しいコンテンツが出るし、どんどん新しいポストは出てくるし、どんどん新しいニュースは入ってくるし、他の人のことも気になるし。ヒトの本能を刺激する何かがあるとしか思えない。
電車の中で本を読もうと思っても、気づいたらSNSを4つ移動しているだけで目的地についていたりする。たとえ電車に乗っている時間が20分だとしても、往復で40分だ。
2日出かけたとしたら80分もSNSに使っていることになる。
充電と時間さえ許せばきっと私は24時間スマホを見ていられる。
そして、残るものは何もない。面白いショートを見ても20秒後には抜け落ちている。先週見たポストで覚えているものなんて1つもない。
むしろ、また見てしまったという罪悪感と、首や肩、手と目などの疲労感が残る。
スマホがなければどんなにいいだろうと毎日思う。スマホがない世界をどんなによいかと思ったりもする。ガラケーで十分だったと思ったりする。
ただ、スマホを解約したいとは思わないし、スマホを置いて家を出てみようとか、そんな未来は確実にない。
なぜって、仕事中にスマホをPCの横に置いておけば、PCでファイルを確認しながらスマホの画面が明るくなるのを横目に見れば緊急のチャットが来たことがわかる。
つまり、反応が早く業務をスムーズに進められる良い社会人ができる。
久しぶりの友達に会う時は、アクセスも値段も待ち時間もメニューも素敵なカフェに行きたかったら真っ先にSNSを選択する。
そして女子会の時間をリラックスして堪能できる。
最近ハマっているJリーグを観戦しながら、この選手はどのチームにいたのか、何歳なのかを調べることもできる。
そうすることで、趣味の幅が広がり、推し活を充実させることも可能だ。
そして、SNSの投稿にコメントをしてやりとりが広がったり、高校の時は仲良くなかった友達となぜか繋がったりする。
視力も悪く、ストレートネックで、無意味にSNSを見てしまう私には24時間どころか数日スマホから離れるべきだと思う。離れたいと思う。
だけどいざ離れてみると、あまりにもスマホが私の中に入り込みすぎているので離れることはかなり難しいことだと思ったし、現代を生きる人としては持っておくべきだと思った。
決して言い訳ではない。自分を正当化しているつもりも毛頭ない。
スマホを持っていてよかったと思うことはたくさんある。
というか、高校生からスマホがあって本当によかった。
スマホがあったからこそ世界は広がったと私は思う。
だからこそ、私の中で課題ははっきりした。
スマホは悪くない。全く悪くない。ただ、スマホやSNSに使われている私が悪いだけ。
今まで単純にスマホというものを毛嫌いしていた。私の健康と心を奪い、姿勢を悪くし、ルッキズムを助長して私を摂食障害に陥れたり、みんなの自慢のはけ口のSNSをインストールして嫌でも見ないといけないものだと思ったりしていた。
スマホの悪い部分ばかり見て、いいところに気づけていなかった。
というか、私っていつもそう。自分の性格や見た目、そしてやってきた過去やキャリアの悪い部分ばかり見て、いつもいいところに気づけない。
スマホというモノに対してもか。毎日使っているスマホのいいところにも気づけないまま、悪いものだ悪いものだと思いながら毎日数時間も浸っていたのか。
毎日使うものだからこそ、いいものだ、好きだ、ありがたいと思いながら使ったほうが絶対にいい。よし、スマホに使われないように今日もうまく付き合い方を探ってみよう。
3時間しか離れられず、一見失敗に思えた「夏のスマホ24時間離れてみようチャレンジ」。
スマホへの私からの思いという面では、大成功だった。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。