「デジタルデトックス」。そんなワードをよく目にするようになった。電子機器と距離を置くことと、精神的な落ち着きや穏やかさとは何がどう関係しているのだろう。つい数週間前までそう思っていたのに、たった3日のデジタルデトックスお試し期間が生活を一変させた。

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来年こそは時間を有効に使って自律した生活がしたい。

こう感じるのがもはや年末の恒例行事になっている。用事が無いとパジャマのまま過ごしたり、眠れない時にスマホをいじったり、だらだらと時間を浪費してしまうことが多いからだ。休日だからといって嬉々としてそう過ごしても、夕方には「もうこんな時間だ」と罪悪感に苛まれ、挙句の果てにはなんだか体の調子が優れないとくる。それでいて忙しくなると「時間が足りない」と嘆く。2023年も相変わらずそんな日々を数え切れないほど過ごしてしまった。

このまま30代を迎えたくない。睡魔に負けてスマホを顔面にくらった年末のある夜、ふとそう思った。そして2024年は自律した生活を送ることを心に誓った。

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初詣を済ませ、駅伝の中継を見ながらお正月料理をたらふく食べる。いつもならこのままソファに座り込むところだが、今年は違う。「目標がある私はこれまでと違うんだ!」と自分を奮い立たせてデスクに向かった。

まずは今年叶えたいことを思いつくままに挙げる。ある程度書き出したら、挑戦する時期や予算、具体的なアクションプランを追加で書き込んでいく。そうして掘り下げてみると、それぞれがお金で解決できる項目と、生活を整えるための項目に分けられることに気が付いた。

お金で解決できそうなものについては予算が許す限り叶えていけるが、生活を整えることに関してはどうだろう。多くの項目は時間があれば少しずつ叶えられそうだ。

本を読みたい、日記を続けたい。そのための時間をどうしたら作り出せるのか。考えた結果、根本から見直すためには無駄だと気が付いていてもやめられなかった「スマホ時間」と置き換えるしかないと結論が出た。

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そして試しに3日間だけと決めて、スマホを見ないことを意識して生活してみた。

まず朝起きてベッドの中でSNSを開くことをめた。代わりにお気に入りのミュージックプレイリストを流すと、映画の主人公になった気分で身支度を進められた。

仕事から帰っておやつを食べながら動画サイトを漁ることをめた。代わりにすぐ晩ごはんの用意に取り掛かると、早い時間にお風呂まで済ませられると気が付いた。

そして眠れないからといってSNSで意図もなくスワイプし続けることをやめた。代わりに寝る前に紅茶タイムを設けると、体を温めてぐっすり眠ることが出来た。

いつもの家でいつもの暮らしをしているはずなのに、なぜか心が軽く晴れやかな3日間だった。

まさに心が「デトックス」されていることを感じた。

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スマホを意識的に手放す生活を始めて2週間が経つが、まだ何の支障も無い。むしろ寝る前の紅茶タイムに時間を割きたいがために、1日を効率良く回せている気もする。

やっぱり生産性のない時間だったんだと少し後悔するとともに、それを手放せたことへの嬉しさも感じている。

スマホ時間、無くてもいいかも。

そう気が付いてこれからの1年、どれだけの新しい時間を生み出せるのか楽しみで仕方がない。

早起きをしてジムに通ったりゆっくり映画を楽しんでいたり、昨年まではそんなSNSの投稿に対して「私だってこんな生活がしたいのに」と悲しくなっていた。けれど3日間の成功体験を積んだ私にとって、今ではそんな投稿も怖くない。時間はいくらでも作り出せることを学んだし、生活のコントロールも意外と簡単だから。

現代人にとってスマホは生活必需品だ。手放せないものだからこそ、たまには手放してみることもアリかもしれない。