小学6年生の時、自信作を文学賞に応募。一次審査も通らなかった
私は小学生の時、自己肯定感がとても高かったと思う。何も根拠はなかったけれど、将来は、有名作家になり、大金持ちになっているとまで思っていた。私は勉強もスポーツも不出来な方で、小学6年生の時母は、保護者面談の時、担任の先生からこのままだと中学進学したら苦労しますと言われたそうだ。
でも、私は危機感を持たず自分は有名作家になるから、関係ないと思っていた。我ながらびっくりする程の自己肯定感の高さである。
そんな私の山のように高い自己肯定感がへし折られる出来事が多々あった。小学6年生の時、学年誌で、募集していた12歳まで年齢制限がある文学賞に出品した時だ。あの頃は、自分が書いた作品は面白いという自信があったし、読者の友人はいつもそれを楽しんで読んでくれた。しかし、一次審査も通らなかった。
あまりにも無知すぎて、応募原稿に添付するあらすじを、オチまでかかずに、面白い部分をアピールするために書いていた。応募の作法すら守っていなかった。一次審査も通らなくてあたりまえである。中学時代、自信作の作文を地方紙の作文コンクールに出品すると、何も賞がもらえなかった。
なぜか中学校を経由して参加賞が送られ、ホームルームの時に渡された。何か賞とったの?と周りに言われた時の切なさを今でも覚えている。確か6色ボールペンを貰った記憶がある。書きづらくて壊れてすぐ捨てた。
時は流れ、社会人になった。社会人になり数年後2020年、コロナ禍に入った。その頃から会社の低賃金、長時間労働、上司からの定時後の叱責、そのような出来事が重なり自己肯定感がどんどん下がっていた。こんな大人になるはずなかった。小学校時代山のように高かった自己肯定感は今では地の底である。今の自分を、小学校時代の自分がみたらとても悲しみ、泣き出すのではないだろうかと思った。
また時は流れ2023年。新卒の会社を辞め、地元を出て結婚をした頃だった。精神的に落ち着いてきた頃、ふとSNSを見ると、エッセイコンテストの広告が出ていた。自分の推し活で現実を忘れて夢中で楽しんだ瞬間というテーマだった。コロナ禍に声優ラジオを夢中になったエピソードを書いてみると、賞がもらえた。大規模の賞ではなかったけれど、私の文章を、プロに初めて認めてもらえた気がした。
そして今年、なんとなく前から存在を知っており、ライン友達を追加していた、エッセイ媒体「かがみよかがみ」さんのエッセイ募集のお知らせを見た。食べることは生きることというテーマで、大学時代のラーメンの思い出が書けそうだなと思い書いてみると、採用していただき、しかもフィードバックをもらえた。
新卒時代のフィードバックっていう言葉は、マイナスなイメージがあった。あまりにもひねくれたことを言うと、正直横文字で、カッコつけて叱責したいだけだろうとまで、思っていた。たくさん肯定の言葉をいただけて、地の底にあった自己肯定感が少し上がった。
自分自身現在、齢29歳、30歳になるまで10本は採用されたいなと目標を立てていたが、先日今回が最後の募集という知らせを聞いた。
もっと早く出会えていたらと後悔もある。
でもまた、応募できそうなエッセイコンテストがあれば、また挑戦してみようと思う。私の地の底まで落ちた自己肯定感を少し上げてくださり、本当にありがとうございました。

かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。