日記を書く時間は孤独だった。エッセイを書き始めて人とつながった
自分の想いを声に出すことが怖かった。言いたいことを言えなかった。嫌われたくなくて、一人になりたくなくて。わたしは、自分の中に押し込めていた想いを書きはじめた。
私も最初からエッセイを書いていたわけではない。書くことのはじまりは日記だった。楽しかったこと、忘れたくないことを書いていたはずなのに、次第に辛かったことや苦しかったことのはけ口になっていた。自分の気持ちに耳を傾けて、「あぁ、私は本当はこうやって思っていたんだ」と自分の気持ちを確かめるように書く。だから、どんなに辛い出来事も、書いている間は苦しくなかった。
でも、日記として書く時間は孤独そのものだった。私の心からの想いを知っている人は、この世にはいない。誰とも分かち合えない私は人間じゃないのかもしれない。そんな私は、世界でたった独りぼっちの人類のような気持を抱えていた。
誰かにこの気持ちを分かってもらいたい。分かり合いたい。世界のどこかには分かり合える人がいるはずだから。そう信じたい。けれども、これまで人と関わって上手くいった試しがなかった。だからそんなことは一生無理だと思っていた。
日記を書いてきたけれど、世界を広げたら私みたいな人に出会えるかもしれないと考え、noteや「かがみよかがみ」にもエッセイを書いて、読んできた。エッセイを読みあされば漁るだけ、同じような感情や感覚を抱いている人がたくさんいた。これまでの辛かったこと、苦しかったことを書いて、世に放つ。
すると「わたしも」という声が、反応やコメントを通じて返ってきた。はじまりはたった一人だったけれど、少しずつ反応や共感のコメントがもらえるようになった。その度に、私は世界で独りぼっちじゃないと思えた。最初はそれだけで良かった。
でも、それだけじゃ足りなくなってきた。心が通じあえた気がする、同じような気持ちを持つ仲間と会ってみたい。「私も同じことを思っていたよ」と伝えたい。私も仲間がいると体感したい。
そうして、イベントに参加したり、コミュニティに属するようになった。それもまた、私の世界が広がった瞬間だった。イベントで初めて顔を合わせた仲間。とてもとても嬉しくて、きっとそのときが本当の意味で「ひとりじゃない」と分かったんだと思う。だから「共に頑張ろう」と心の中で伝えた。きっと相手も感じ取ってくれていたと思う。
一人で書くということを続けてきたけれども、少しずつ歩みを進めて、書くことで私は、私の住む世界を広げることができた。たった一人でも行為が、誰かとつながるきっかけになるなんて不思議だ。けれども、書き続ければ、分かち合える人と出会えるということも証明できたんじゃないかと思う。私は、私みたいなひとりぼっちだと感じている人に伝えたい。「あなたは一人じゃないよ」と。

かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
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