諦めたくて、占い師に「ライターの夢を諦めるべきでしょうか」と質問すると
16歳の時に、私は発達障害のADHDと診断されている。
自分でも思うが、私は非常に落ち着きがなく、ジッとしていることが苦手。オマケに計算が苦手で、手先も不器用。
31歳の私は現在、アルバイトの傍ら、執筆活動を行っている。正直、生活は裕福とは言い難く、現在も常に不安につきまとわれながら、なんとか生活しているレベルだ。
暇さえあれば、ずっとこのままだったら、どうしようと考えてしまう。その問いに対し大半の人は「ちゃんと正社員で働けばいいじゃない」と回答するだろう。
しかしお恥ずかしながら、私はこれまでに既に4回転職しているのである。どの仕事も「優秀」と評価されたことはなく、勤務先でも「使えない」と認定されていることがほとんど。
だからこそ私も、また正社員になってしっかり働こうという気持ちには、どうしてもなれないのである。だけど同時に、そろそろ現実を見なければいけないのかもしれないとの気持ちも、たしかに胸に芽生えていた。
結婚して私を養ってくれる物好きな石油王も現れなさそうだし、ライターも軌道に乗らず、絶不調。それならば30代前半の今のうちに、観念してきちんと働いた方がいいのかもしれない。
自分の年齢なども考慮しながら、未来に対するビジョンについて悩む私だったが、後日、仕事でターニングポイントを迎えることとなる。
その日は、占い師さんに実際に鑑定を受け、そのレビューを書くという内容で取材を行った。本格的に占ってもらうのは初めてだったため、ドキドキしながら占いの館に向かうと、そこには50代と思わしきミステリアスな装いの女性占い師さんが待っていた。
半透明の薄紫のベールを頭に被り、黒いドレスに身を包んだ姿を見ていると、こちらまで神秘的な気持ちにさせられる。
日常では味わえない非日常を目の当たりにしながら、私は占い師さんに「ライターの夢を諦めるべきでしょうか」と質問した。
正直、この質問を行う時、すっごくドキドキした。
家族からも「いい加減、現実を見ろ」と強く言われているのである。だからこそ、私は諦めるなら今のタイミングだと思っていたのかもしれない。
「文章で生計を立てていきたい」は、子どもの頃から、ずっと私の夢だった。
だけどここで、著名な占い師さんに「それは無理」とハッキリ言われれば、潔く筆を置ける。
しかし意外なことに、占い師さんの答えはこうだった。
「あなたには、普通の人にはない独特な感性があります。このまま絶対に筆を置いてはいけません。書き続けて下さい」
こう言って貰えた瞬間、瞳から涙が溢れたのを今でもよく覚えている。
占い師さんにこう言って貰えて、とても嬉しい。
ああ。私はやっぱり、書きたくてたまらないんだと再認識したのだ。
確かに、生まれ持った特性もあり、行き辛さは常日頃、感じている。
だけど、そんな私だからこそ、書ける文章がきっとあるハズ。
周囲に否定されても構わない。やっぱり私は、何が何でもライターを続ける!
そう強く決意した私は、先生に「ありがとうございます」と言い、その日の仕事を終えた。
例え今は、世界が私を冷ややかな目で見ていたとしても、構わない。だって私はいずれ、多くの人を感動させるライターになるから!

かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。