2020年はモヤモヤ吹っ飛ばして もっと息のしやすい社会にしたい【編集部・水野】
「かがみよかがみ」がスタートして早4カ月。2019年もたくさんのエッセイを読ませていただきました。読みながら「分かるなぁ」と首がもげそうになることばかりでした。その中から、エピソードが目に浮かぶ、ちょっと前向きになれる5本を皆さんにも読んでほしくてご紹介します。(敬称略)
「かがみよかがみ」がスタートして早4カ月。2019年もたくさんのエッセイを読ませていただきました。読みながら「分かるなぁ」と首がもげそうになることばかりでした。その中から、エピソードが目に浮かぶ、ちょっと前向きになれる5本を皆さんにも読んでほしくてご紹介します。(敬称略)
◆キャイキャイしていいのは1女だけ? 「若さ=価値」の呪いを解きたい/みのり
◆えびアレルギーも悪くない?『えび尽くし』のコミュニケーション/こみぃ
◆私が勝手に作ったヒエラルキー『アパレル店員さんがこわい』/カンダ
◆本を作りたい、生活はくるしい 『天職』とお給料の理不尽な関係/薄荷
◆『自分の身体を許せない』という呪いを解こう。他人の声より自分の声を聞いて/Lily
そろそろ「若さ=価値」という呪いから、みんな抜け出していきたいよね、と感じたみのりさんのエッセイ。
大学1年の女性をさす、1女。「華の1女」なんて言葉があるけれど、おかしくない?とその言葉に疑問を抱く今日この頃。
キャイキャイしていいのは1女だけ? 「若さ=価値」の呪いを解きたい
実際問題、以前同期で撮った写真を見返すと、明らかに1女の時より今(3女)の方が垢抜けて見えるし正直言ってかわいいと思うんだ。2、3歳しか変わらないのに若さってそんなに大事なの?
「華の1女」という言葉を聞いて衝撃。私は大学時代にサークルに入っていなかったこともあり、「若い方が是!」みたいな価値観とは距離がありました。それでも20代後半になって周りが「30になりたくない!」と言っているときに、この〝呪い〟の感染力をビシバシ感じました。
仕事で出来ることが増え、たくさんの人に出会って視野が広がったおかげで、20代前半よりも後半、20代後半よりも「今」の方がわたしは楽しい。でもそれは、わたしがすでに呪いから抜け出してるから感じるんだろうなぁ。
「若さ=価値」の呪い、がんじがらめで複雑すぎない?? あー誰か、この呪いの解き方を教えてくれ。
キャイキャイしていいのは1女だけ? 「若さ=価値」の呪いを解きたい
これが今の多くの女の子の叫びに聞こえました。
そんな時は、ぜひドラマになった『逃げるは恥だが役に立つ』の百合ちゃんの台詞を心に刻み直そう。
「そんな恐ろしい呪いからはさっさと逃げてしまいなさい」
呪いの解き方が分からなかったとしても、「そんな呪いはごめんだ!」と感じる人たちで全力で逃げちゃいましょう。
「こんな友達がいたら食べられないものがあってもハッピーだよなぁ」とほっこりしながら読んだのが、こみぃさんのエッセイでした。
翌日、また一通受信。「さすがに日曜は休みを満喫するわ。歌舞伎を観に行ってくる。初めて海老◯さんに会えるの!ドキドキするー!」 「いつも桜えび抜きにしてくれるくせに~!具合悪いからやめて~(笑)」 「いちいち報告せんでええわっ!」 お返しのツッコミも板についてきた。私は、楽しくなってきた。「アレルギー持ちの私」も案外わるくないかも。
えびアレルギーも悪くない?「えび尽くし」のコミュニケーション
食べられないものがあるって、毎食気を遣ってしんどいこともあるのだろうけど、それを軽やかなエッセイに変えているのがステキ。彼氏と食べた「しいたけフルコース」にも思わずにっこり。ぜひ皆さん読んでみて!
気になった服を見ていて「あ…!店員さんのレーダーに入ってる…!」と察知したら、即座に逃げるタイプ。
だから「分かる分かる分かる」と髪の毛振り乱しながらうなずきまくったエッセイです。
冷静に考えれば、向こうも仕事だから、客である私に話しかけてきているだけなのだ。私が意識しているほど、店員さんたちは私を気にしていないだろう。 それなのに、私はどうしても身構えてしまう。好みの服を見つけても、話しかけられそうな気配を察知すればそそくさと店から出る。もしも話しかけられてしまったら、これ以上会話をしなくていいようにニッコリ笑って「ありがとうございます~」と受け流す。そして、恥ずかしさで顔を少し火照らせながらその場を立ち去るのだ。だから私の服は通販で買ったものばかりである。
私が勝手に作ったヒエラルキー「アパレル店員さんがこわい」
そう、自意識過剰なのは分かっているんです。でも難しいですよね。おしゃれな人とどう話せばいいんだ……。共感して下さる方、ぜひ読んでほしいです。
薄荷さんのエッセイは、表現の端々が刺さってくるようでした。
あるとき、ひとに「本は好きだし、本を作るのは私の喜びだけれど、この仕事を続けていたら、本に人生を食い潰されそうで怖いのです」と、不安をうちあけた。 月収がわたしよりも10万円ほど高いそのひとは、「いいじゃないですか、本に人生捧げるの」と答えた。 ああ、この人はいま、私の切実な不安をロマンティックに矮小化したんだな、と思った。
本を作りたい、生活はくるしい 「天職」とお給料の理不尽な関係
人の切実な不安を、他人がまとめてはならないって思いました。
「若い子は酒を飲まない車も乗らないっていうけど、将来が不安で給料も安かったら、そんな余裕なんてないよね」と友人が言っていたことを思い出しました。
また、アンサーエッセイが届いたのも印象深かったです。
◇夢追い人は貧乏で当然?夢もお金もすり減らない場所を探して/なつぺぃ
常に襲いかかる飢餓感。今月はなんとか生活できる。けど来月は?再来月は?息切れしている状態が3年近く続いた。エネルギーはエンドロールに流れる自分の名前、SNSでの番組の評判、そして「テレビで人を元気づけたい」という私の夢。ボロボロになろうとも、夢をどうしても捨てられない、私の強い思い。
夢追い人は貧乏で当然?夢もお金もすり減らない場所を探して
この世代の切実な声。ぜひどちらも読んでほしいなと思います。
なんとなく社会に漂う「かわいいは正義」とか「やせ=ステキ」という呪いからも、2020年は距離を置いていきたいなと改めて感じたのが、Lilyさんのエッセイでした。
肉付きが良いために「ふわふわ」だと言っておなかや二の腕を同級生に触られることも多かった。「太ってるから~」というと「感触が良い方が男にモテるよ」「ゆるキャラみたい」「安産型だよね」とみんなが言った。それでいてみんな、絶対私のようにはなりたくないと思っていた。私にはそれが悲しいほどにわかっていた。 そうやって少しずつ、私の身体は「女」として正しくないのだというメッセージを受け取るようになった。女として美しいとは言えないけど、子どもを産めるなら、男に求められるなら一応存在を許されると、そういう扱いなのだと思った。
「自分の身体を許せない」という呪いを解こう。他人の声より自分の声を聞いて
電車の中や雑誌の特集……いろんなところにダイエットや脱毛、英会話、わたしたちのコンプレックスや劣等感を刺激してくる広告や情報があふれています。
小さな頃からぽっちゃりだったわたしは、こういうのを目にするたびに「わたしは太っていてダメなんだな」と思ってきた。でももう、こういう呪いも遠ざけていきたいです。「本当にそれって、自分が心からなりたいと思っているもの? 社会から思わされていない?」と問いかけてみてほしい。
Lilyさんがエッセイの後半、「そもそも美しくある必要があるの?」とだんだん自由になって羽ばたいていくのがとてもいい!
2020年はモヤモヤをふぅっと吹き飛ばして、もっとたくさんの人が息のしやすい社会になったらいいなと願っています。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。