私は大学生の頃、芸術学部で映画を学ぶ傍ら、高い映画の制作費を稼ぐため、大阪の北新地でホステスのバイトをしていました。
会員制で、お客様は名前のきいたことのある企業に勤める方ばかり。会社同士の接待で来る方がとても多く、言葉遣いや食事の作法も気を付けなければいけませんでした。
高いスーツに身を包んだ男性たち。高級な腕時計がキラキラと光り、ヤンキーだらけの街で育った私にはまるで異世界のようでした。楽しく働いていましたが、華やかな仕事も一年続くと精神的な疲れが。

「気分転換したい!」と思い立ち、掛け持ちで飲食店のバイトを始めました。
そこでキッチンを担当していた“彼”と出会います。

元カノのアカウントを発見してしまい、嫉妬心に苦しめられた

歳は私の4つ上、当時27歳でした。無口で無表情、ロン毛、バンドマン(雲行きが怪しくなってきましたね…)。
夜のバイトでは絶対に出会わないタイプの人です。
金色のロン毛から覗かせる彼の笑顔に乙女心をくすぐられ、ちょっと気になる人から好きな人になるのはあっという間でした。

そんな中、まかない休憩の時に彼がSNSアカウントを教えてくれたのです。わざとまかないのタイミング合わせて良かった~!と神様に感謝しました。笑
彼のSNSには好きなアニメや漫画の話、音楽の事などが書かれていて、話すきっかけを作らなければ!と、血眼になって彼のSNSから情報を追う日々を過ごしました。
その甲斐あって、彼の好きなアニメのコラボカフェにデートしたり、彼のライブに行くうちにお付き合いができることに!もう毎日が楽しくて、ハッピー。

そんなある日、彼のSNSを見ると彼が元カノの投稿を拡散しているのを発見しました。
「なんで元カノと絡んでんの!?」
彼に画面を突きつけると、素直に謝ってくれましたが、もやもやとした気持ちは晴れません。
それがきっかけで元カノのアカウントを発見してしまった私は、毎日元カノの投稿をチェックしないと気が済まなくなってしまいました。
もうとっくに別れているというのに、かつては彼に愛されていたこと、その事実が受け入れられず、この人に負けたくない!という強い嫉妬心に苦しめられました。
彼を好きでいる限り終わりがないこの行為は、本当に無意味でただ傷つくだけで。今思い出しても苦しいです。

「SNSの投稿でそんなに怒るなんておかしい」

そんな中、私の就職がきっかけで遠距離恋愛をすることになりました。
彼は、私との結婚を考えているから、お金を貯めて一緒に住もうと。私の実家にきて挨拶も済ませ、嬉しかったのを覚えています。
私は二人で一緒に暮らす為、慣れない土地での一人暮らしでしたが節約生活をつづけました。彼も同じように頑張ってくれている…と信じて。

しかし、いつものようにSNSを開くと、彼の投稿が目に入りました。
「7万溶かして推しGET~!!」
…おいおい、待ってくれよ。頭が真っ白になりました。
別に、ゲームはいいんですよ、私も好きだし。でも、二人で暮らすために貯金頑張ろうねって言ってたのに…?
投稿を見つけてすぐは悲しみに暮れていましたが、時間が経つとどんどん怒りがこみ上げてきました。
そして、彼にそのことを告げるとSNSをブロックされて彼の投稿を見れなくされてしまいました。
「SNSの投稿でそんなに怒るなんておかしい」
確かにそうかもしれませんが、当時の私は深く傷ついてしまいました。
結局、それがきっかけで彼とは破局する事に。

一線を引いて利用するのが良いのかも

SNSは好きな人との話題作りや自分の好きなもの、世間の情報を収集するには便利なツールだと感じています。私も会社の広報として、毎日情報を発信しています。そうすることで、他のユーザーさんから商品について意見が貰えたり、商品の開発などにも役立っています。

しかし、元カノの投稿から離れられなくなった私のように、固執するとしんどい気持ちになってしまう事もあります。また、溢れる情報の中で、拾うはずのなかった情報まで拾ってしまうことがあります。

これはSNSだから。という心構えで、一線を引いて利用するのが良いのかもしれません。