今回もたくさんのご応募ありがとうございました!

妹が大好きで仕方ない話や、優秀な姉にコンプレックスを抱いている話、弟が生まれてから名前で呼ばれなくてさみしかった話、その逆で「お姉ちゃん」と呼ばれたかった話……。

一口に姉・妹といってもその関係性はさまざまなのだな、と一人っ子の私はどれも興味深く読ませていただきました。

それでは、かがみすと賞1本、編集部選4本を発表していきましょう!
各タイトルをクリックすると、それぞれの記事に飛べますのでぜひ読んでみてくださいね!

かがみすと賞

◆私は姉だと思い続けている。今はひとりっ子だけど(高橋貴和子)

「下に猫が3匹いるよ(笑)」 これは、兄妹の有無を聞かれたときのわたしの答えだ。(中略) いまのわたしに人間の兄妹はいない。15年前、11歳のわたしにはいた。妹がいた。11歳の時、8歳の妹が死んだ。

普段何の気なしに家族構成を聞いてしまうこと、ありますよね。私も会話の糸口に、くらいの感覚で聞いたこともあったと思います。でも、もしかしたらその言葉が相手を悲しませていたかもしれない。それぞれ、いろいろな背景を持っているということを、改めて感じたエッセイでした。

二人で遊んでいたマリオパーティで私とサイコロを振ってくれるのはコンピュータだけになってしまった。コンピュータからテレサを使ってスターを奪っても全然楽しくなかった。

何気ない日常の描写に、高橋さんの寂しさ・悲しさがひしひしと伝わってきます。妹さんを失った当時を書いたその一文一文に、妹さんへの想いが込められているように感じました。

編集部選

毎度のごとく、想いのこもったエッセイはどれも素敵すぎてひとつに選べない...。
今回も編集部選として、4本、ご紹介します!

◆お姉ちゃんへ。私は強く自信に満ちたあなたになりたかったけど(西東子)

常に人の目を気にして生きる自分とは違い、自由奔放に生きる姉が羨ましかった、という西さん。自分とは違う生き方をする姉妹に憧れを抱く人は多いのではないでしょうか。

姉みたいになりたい、と何度も思った。 けれど私は姉にはなれない。今も人の目が気になるし、自分の意見を主張するのは怖い。 それでもそんな自分自身を、昔よりも受け入れられるようになった気がする。人の目が気になるというのは、裏を返せば他人にいつも気を配って生きられるということかもしれないと。

お姉さんとのある会話をきっかけに、自分の長所に気付くところが素敵でした。自分にとっては短所だけど、他の人から見たら長所になりうることってありますよね。

私にとっての姉は憧れそのものだ。なりたくてもなれない、けれど目で追わずにはいられないひと。 そして少しでもいいから、姉にとっての私もそうであり続けたいなと思う。

最後の文章からは、お姉さんを尊敬し思いやる気持ちが伝わってきて、心が温まりました。

◆比較せずに生きていけたら楽なのにな。お姉ちゃん、私を受け入れて(なつぺぃ)

冒頭の「そうか、私、お姉ちゃんと仲のいい友達になりたいんだ」という一文で、姉妹で仲良く生きていく話かと思いきや、その少し後にはこんな文章が続きます。

今思うとなんていい子ぶりっ子なんだろう。だけど今日確信した。「友だちになんてなれねえ」

「友だちになんてなれねえ」と言い切ってしまうところが爽快!姉妹だって、合わないことありますよね。本音がびしびし伝わってきた一文でした。

だったら距離を置けばいいじゃんと思うよね。私だってそう思う。だけど、できない。だってお姉ちゃんだもん。なんだかんだで嫌いになれない。

姉妹って、なんとも微妙な関係性だというのがよく分かります。友達でもないし、家族だけど親とはまた違う距離感だし……。お姉さんがコンプレックスで、でも嫌われたくない、そんな感情の揺れが伝わってくる、素敵なエッセイでした。

◆会ったことのない妹と第一子に、いつか向こうの世界で会いたい(週末ひさ子)

子宮外妊娠をし、手術で第一子を摘出した週末ひさ子さん。その際お母さんから、生まれる前に向こうの世界に戻った妹がいたことを聞きます。

もしかしたら、母も同じように妹を失ったときに苦しんだのかもしれない。当事者の私はこの悲しみを噛み締め、はるか昔、妹を失った母へ思いをはせる。

当時のお母さんの気持ちを考える週末さんが、とてもとても大人に見えました。私だったら、自分が辛い思いをしている時、こんなにも他人の痛みを想うことができるだろうか……と考えてしまいます。

生命の誕生ってとても神秘的で喜ばしいことだけど、どうしようもできない理由で失ってしまうこともある。生と死は本当に隣り合わせで、その差は紙一重なのだな、と考えさせられるエッセイでした。

◆『姉』という呪縛が解けた先に得たちょうど良い関係(こちょちょこ)

幼い頃は喧嘩ばかりだったという姉妹の関係性が変わったのは、妹さんが大学進学を機に実家を出てからだそう。

妹が帰省した時、大学の部活やバイト、恋愛の話題で盛り上がった。お酒も飲めるようになった妹は結構酒豪らしく、部屋にはウイスキーの瓶を置いているそうだ。活き活きと話す妹は楽しそうだった。意外と妹のこと知らなかったんだな。

離れて初めて相手といい距離感で付き合えるようになること、ありますよね。私も実家を出てから、家族との付き合い方が変わったことを思い出しました。「意外と妹のこと知らなかったんだな」という一文からも、妹さんのことを今までとは違う距離感で見つめているのが分かります。

もう『姉だから』『姉なんて』なんて思っていない。でも『姉として』妹・弟の将来や家族のことは気になる。

こうした感情の変化も、大人になったからこそなんでしょう。「姉として」きょうだいのことを想う気持ちが素敵だなと思いました。最後は「姉妹って、すごくいい」と結ばれていて、読み終わった後に暖かい気持ちになる、すてきなエッセイでした。

以上、姉だから妹だから、かがみすと賞&編集部選の発表でした!
たくさんの心に残るエッセイを、本当にありがとうございました。

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