4月7日に緊急事態宣言が発令されて会社がリモートワークになった。
といっても、私が関わっていた案件はこのご時世でほとんどが中止になったので、やるべきワークもかなり減ってしまった。

コロナウイルスが流行る前のように、毎日出社して、クライアントと打ち合わせして、原稿整理して、コピーを書いて。
忙しい日もあるけど、好きな仕事をして、なんだかんだ楽しく過ごしていた私の日常が突然ガラッと変わっていった。

今は「人生のボーナスタイム」。山積みのやりたいことにわくわくした

リモートワークになると聞いたとき、正直私はわくわくした。
今まで“時間があるときにやろう”と思っていたことが一気にできると思ったから。
部屋の掃除、衣替え、読書、仕事に使える資格の勉強……。
もちろん、任された仕事はしっかりやるけど、いつか、と思っていたことが今、できると思うと楽しみでしかたなかった。

リモートワークになる前の夜、私は“会社に行く時間と同じ時間に起きて、やりたいことを1つずつ片付けていこう”と、6時30分にスマホのアラームをセットした。

でも、実際に起きたのは9時だった。
一応、6時30分には目を覚ました。起きなくちゃ、とも思った。
でも、もう会社に行かずに仕事するんだからもう少し寝ててもいいんじゃない?最近仕事も忙しかったし。と昨日のわくわくとやる気はどこへ行ってしまったのか、計画した時間通りに起きようとする力が全く出てこなかった。
誰にも会うことがないからと、部屋着のまま化粧もせず、仕事をしていた。
この日は“まぁ1日目だし、仕事はやったからいいか。明日からがんばろう”と言い聞かせることにした。

気付けば、1日の始まりが昼過ぎに。達成感はなく自己嫌悪に陥った

次の日に起きたのは、まさかの10時だった。本来なら会社に着いて、仕事を始めている時間。
一瞬、かなり焦った。でもすぐに“今日中にやる仕事はないんだった”とホッとした。
時間も時間だし、起きないといけないなと思った。でも、私は起き上がれなかった。
起きないといけない。掃除も読書も勉強もやりたい。やらなくちゃ。けど、まだ布団の中にいたい。

結局、ベッドから出て、“1日”が始まったのは昼の12時過ぎ。
とりあえず、積ん読していた本を読んだり、軽く掃除をしてその日を終えた。
何かをしている時間が少なかったせいか、なんの達成感もない日だった。
起きるのが遅かったし、特に疲れてもいないしで、いつもは寝ている時間になっても眠くならない。
“寝る時間が遅くなる→起きる時間が遅くなる”という悪循環を繰り返し、その度に自分のことが嫌になった。

おうち時間が増えた今だからこそ、体と心を思いっきり休ませたい

そんな悪循環を4,5日ほど続けていたが、ある日7時に起きて、ちゃんとベッドから出られるようになった。その前の夜もなかなか寝付けなかったから、起きれたことに安心したし、驚いた。
この日を境に、お昼前までベッドにいることは減っていったし、少しずつ朝からやりたいことに時間を使えるようになった。

あの悪循環で体と心がうまく動かなかった時間はもう戻ってこないから、あれは私にとって“必要だった”と、都合のいいように解釈している。
夜遅くに寝て、昼前に起きるなんて“常識”で考えると健康的じゃなさそうだし、会社に勤めている身としてどうなのか、と思われるかもしれない。
でも、睡眠時間でいえば長くなっていた。
だから、乱暴かもしれないけど、“体と心はもっと休みたがっていた”と私は思うことにした。

今、世の中が自粛モードになっていて“おうちでもおしゃれをして楽しく過ごそう”とか“規則正しい健康的な毎日を”のような、少しキラキラした特集をTVやネットで見かけるようになった。
そういうのを見るたびに“私、こんな見栄えのいい過ごし方してないな”と一瞬、落ち込んだりもする。
でも、家にいる時間が増えたからこそ体と心を見つめ直して、休みが必要なら思いっきり休む時間にしてもいいと思う。