次会うときは
わたしの初めての彼氏になってくれた君へ。
4年前、大学に入学して入った部活動で知り合ったね。
新歓活動の時見かけた、って言っていたけれど、私は気付かなかったんだったね。
君はプレイヤーで、わたしはマネージャー。
君は内部進学で、わたしは受験で入学したね。
君は男女半々の学部で、わたしは女の子ばっかりの学部だったね。
君は大学の近くに住んでいて、わたしは遠いところから通っていたね。
君にとってわたしは二人目の彼女で、わたしにとって君は、初めての彼氏でした。
君が初めての彼氏だったのは、知っているよね。
何も知らなかったんだ、私。
お付き合いのスタートも、LINEの頻度も、会うペースも。
好きな人なのに、近くにいる人なのに、特別な存在なのに、コミュニケーションの取り方が、わからなかったんだ。
キラキラしたカッコいい君と、ビクビクしてたわたし。
でもね、言い訳させて。
内部進学だったきみは、友達が多かったよね。
新しくできた女友達も、たくさんいたよね。
ずーっとスポーツをやってきて、運動神経もよかったよね。
冷静なプレーと、持ち前の足の早さで、新しく始めた種目だったけれど、あっという間に上達していたね。
先輩にも期待されていたよね。
でもわたしは、マネージャーの仕事、全然覚えられなかった。
数字やパソコンの操作が、本当に苦手だった。
大学でも友達を増やさなきゃ、って一生懸命だった。
おしゃれもメイクも詳しくないから、見た目にも自信がなかった。
病気になってしまって、それだけで欠陥品になったような気がしていたんだ。
いっぱい失敗してしちゃったな。
覚えてる?
君と初めてぶつかった日。
新しい女友達と二人でカフェに行って、女の子がきみのことをタグ付けして投稿したんだよね。
わたしは、キラキラした君、カッコイイ君、彼氏なのにどこか遠い存在の君に、“こんなわたしだから、不安になっちゃうよ”って、言えなかったんだよね。
君は、そんなことなんかで怒る人じゃなかったのにね。
すぐに顔と態度に出ちゃって、君が優しく心配してくれて、わたしが口を開くのを待っていてくれたね。
わざわざ地元の方まで来てくれて、嬉しかったよ。
失敗しても、かわいがってくれた君。
君のお誕生日も。
サプライズしかけたり、観覧車もレストランも行く予定だったのに、どうしてだっけ?
なんだか、うまくいかなかったんだよね。
部活が忙しくてバイトできなくて、高いものは渡せなかったけれど、喜んでくれたね。
それすらも、受け入れてくれて、“グダグダでも、それもまたいいよ”って、嬉しそうに言ってくれて。
わたしの好きなディズニーにも付き合ってくれたね。テスト前でも、朝早くても、何回も何回も。
荷物を持ってくれたり、おそろいするために服を貸してくれたり、好きなアトラクションに何回も並んでくれたり。
わたしに付き合ってくれているのに、わたしがお腹すいたり眠くなったりして口数が少なくなって、君にご機嫌とってもらったりしていたね。
メイクが崩れてきても、”すっぴんのほうがいいよ”って笑ってくれたね。
苦手なお手紙も書いてくれて、ドライブにも連れてってくれて、素敵なプレゼントを買ってくれて、うちの近くまで来てくれたりしたね。
本当のわたしを抑えて、会う時はいつも作っていたんだ。
素敵な君といるはずだったのに、君とは釣り合わないと思ったまま、お付き合いしていたんだ。
君の好きな女の子になりたい!って思って、本当の自分を抑圧して、
会う時はいつも力んでいたんだ。
近い存在なのに、一番気を遣っていた。
“君の好きな女の子”は、わたしだったのにね。
わたしは、誰かになろうとしていたみたいです。
君とは1年も経たずに終わってしまったね。
あのあと、わたしから大学で見かけても避けてしまって、SNSもお互いフォローを外しちゃったね。
君のことだから、新しい彼女はいるよね?(笑)
君のパワーで、彼女のことを幸せにしてあげてね。
君がわたしを見つめてくれた時間や、君のちょっと高い声を独り占めできる時間は、とっても贅沢でした。
カメラを向けると口角をちょっとあげた表情をするところ、スイーツはチョコバナナ味ばっかり食べるところ、軽い溜息をついて眉毛を下げて可愛がってくれるところ、帰り道はいつも電車の本数が少ないわたしのために急いでくれたり、待ってくれたりする君。
ちょっとの悩みもすぐ察知してくれて、真剣に考えてくれたね。
わたしに盛れた写真を見せてくれたり、おしゃれなものを見せてくれたり、髪型の相談をしてきた君。
わたしにかっこいいところをたくさん見せようとしてくれた君。
わたしのことが、大好きだった君。
成長した今のわたし、君に見てほしかったな。
わたしもあのあと色んなことがあったんだ。
あれから、お酒も飲めるようになりました。
色んな服を着ています。
メイクも、ちょっと変わったよ。
好きなものは好きって言えるようになったし、
男の子が喜ぶようなことも、たくさんできるようになったよ。
ちょっと太っちゃったけれど。(笑)
それから、色んな事に挑戦して、色んなところへ行きました。
たくさんの考え方や経験に触れて、少しは強くなったよ。
ああ、成長したわたし、君に見てほしかったな。
あの時よりも、ずっと、ずっと、ステキなわたしになったよ。
もう、お誕生日のお祝いも完璧にできるし、門限もなくなったし、おしゃれになったよ!
それでも、やっぱり、君に会いたいな。
もう社会人になった君は、
今は、どこで、何をしているのかな。
今では私には、婚約者がいます。
彼のことを、愛しています。
それでも、君に会いたいな、って思うよ。
次会う時は、もっとキレイになっているからね。
ありがとう。
私のことが、大好きで大好きで大好きだった君へ。