「俺、広告代理店の女だけとは付き合えないわ」
これは、私が新卒で広告代理店に勤めてこの1年、何十回も聞いた言葉だ。
私はその度、その場の雰囲気を崩すまい、と、笑いながら「私も男性だったらそう思いますね」とごまかしていたが、何とも言えない屈辱感に心を痛めていたことも、また事実だった。
念願の広告業界。仕事を通じて叶えたい夢だけは、一度もブレていない
元々大学時代から、「広告」が好きで、人の心を動かす、人の人生を動かす仕事がしたくて、就活では広告業界にこだわり続けた。
昔ほど人気のある業界とは言えないかもしれないが、ライバルも多かったように思う。
今の会社から内定をいただいた時、嬉しくて嬉しくて、通知書を握りしめて会社との最寄駅で涙があふれたのを、今でも鮮明に思い出せる。
入社してから、営業に配属された私は、思い描いていた「広告」とのギャップに苦しんだ。自分自身の努力不足、経験不足、実力不足。
たくさんのことを痛感する日々の中でもあったが、仕事を通じて叶えたい夢だけは、一度もブレたことはなかった。
夢とはほど遠い日々ではあったが、周囲は温かく、時に厳しく、根気強く。
生意気な私を育ててくれた。
職業に対する偏見を目の当たりにして、募る疑問。
けれど、私には1つだけ、ずっと疑問に思うことがあった。
いわゆる飲み会の席で、私がよく耳にした言葉。
「俺、広告代理店の女だけとは付き合えないわ」
その言葉には、様々な“偏見”があると感じていた。
そしてその言葉は私自身に、呪いとなっていつまでもまとわりついた。
発言した方は、軽く、その場を盛り上げるためのジョークであったとは理解していても、自分自身の仕事や夢自体を、根本的に批判されているような感覚は、どうしてもぬぐえなかった。
一人の”人間”として、「自分自身の価値」で勝負できるような時代を創りたい
社会人になって1年間。
色んなことがあったけれど、私はいつまで、純粋に「広告が好き」でこの仕事に就きたい、と思ったあの日のことを、内定をいただいた日に流した嬉し涙を、覚えていられるだろうか。
今回この記事を投稿した理由は、きっと同じ「職業」というレッテルで勝手に分類され、傷ついて、呪いをかけられた人が多くいると思ったからだ。
「気にしない」が正解なのかもしれない。
でも、私は今日も思う。
どんな仕事をしていても、どんな夢を持っていても、どんな人生を送っていても
まず性別の前に、人間として「自分自身の価値」で勝負できるような時代を創りたい。
これは職業だけに限らない。
どうか、何にも「縛られない」人生を送ってほしいし、送りたい、と思う。
あなたの人生の主人公は、あなたしかいないのだから。