夏、花火大会のストーリー。
「花火きれい」
「そうだね、きれいだね」

誰と一緒かには触れてないけど
「知ってんぞ、彼氏やろ」
私いつからこんなに、リア充に対してひねくれてしまった?

冬、女友達と空き教室でお昼食べてたとき「彼氏にクリスマスプレゼント何あげよう...」の話題になった。
私は内心「しらねぇよ、私に聞かんといて」と思いながら、親身に考えてるフリをした。
嫌いな友達とかじゃないのに、大事な友達のことなのに、“彼氏いる人”に対して嫉妬だか恨みだかよくわからないドス黒い感情があった。

あぁ、イヤだ。

お願いだから…リア充自慢は聞きたくないの

なんで人間は「リア充爆発しろ」って思うんだろう。
私の「爆発しろ」は、焦りだ。
本当に爆発してほしいわけじゃなくて、私の焦りをその人たちへの敵意にすり替えている。
自分に余裕があって自信があったら、きっと友達に彼氏がいてもいなくてもどっちでもよくなる。
「そんなことより私いま幸せなんだよね~~」って。

私は21歳と7ヶ月を迎えてるけど、今まで誰ともお付き合いしたことがない。
ということをできれば他人に言いたくない。
だって「彼氏いたことない」って飲み会で言ったら、もれなく引くじゃんみんな。
挙げ句の果てには「なんで?」って聞いてくるじゃん。
そんなの私が聞きたいわ!

交際経験がないことが劣等感、ずっとずっと劣等感だ。
大人になるための必須ピースが抜け落ちた欠陥品でいる気分だ。
早く欠陥品を卒業したい焦りから「リア充爆発しろ」が生まれる。
SNSにアップされた花火のストーリー見たり、恋人へのプレゼントの相談されたりするだけで「あいつ彼氏いたことないらしいよ、ハハッ」って言われてるような気になる。
自己嫌悪に陥るから、だからね、あなたの彼氏の話なんて聞かせないでほしいの。

「恋人がいる=楽しい人生」という私を縛り続けた呪いからの脱却

つい最近、彼氏美学の呪縛から少し解放してくれるものを見つけた。
女の子のエッセイを集めたサイトで、同じようなことを考えてる人が意外といるもんだ。
“かがみよかがみ”っていうんですけど。
21年間彼氏がいなくても茶化さないで、見下さないでいてくれる人も、どうやらにいるらしい。
「ワーオ!彼氏がいることだけが、この世の共通美学でもないらしい。ワーオ」

肩の荷が下りたら、視界がクリアになった。

「私は彼氏をつくることを急がなくていい、焦らなくていい」
「私の幸せは私が定義する」
「彼氏がいないからって、無条件に哀れまないでね。私が哀れかどうかは、私が決めるから」

外出自粛中に一人暮らしの彼氏の元に行ってる友達に、まだゴリゴリに嫉妬するけどね。
二人分の料理が並んだ同棲カップルの食卓に、まだゴリゴリに嫉妬するけどね。
恋愛至上主義の重荷が少し外れて、身軽になった私はまた少し強くなったんだから。
マリオのスーパースター無敵状態なんだから。

「〇〇歳だから恋人がいて当たり前」、そんな考えがスーっと静かに衰退したらいいな。
そして今日も誰かのエッセイで誰かが救われればいいな。