最近、気温の高い日が増えて半袖の洋服を着る事が多くなった。
この時期に、私が世界で最も嫌いな広告が一気に増える。それは“脱毛”だ。
YouTubeやLINEニュース、インフルエンサーのinstagramや電車の中まで、常に私達は“女は毛を無くせ”という脱毛ハラスメントに晒されて生きている。
そして多くの女性は思ってしまうのだ。
「女は毛を無くさなければならない」と。

小学生の頃から付き纏われていた「脱毛ハラスメント」

私の高校の夏服は、半袖のセーラー服だった。
ある夏の日に、友人が「あの子一緒の電車で私の目の前でつり革を持って立ってたんだけど、脇毛ボーボーだった~」と言って笑った。
やばい。私もだ。
思えばこの頃から脱毛ハラスメントは、とっくに始まっていて生涯私達に付き纏う事になる。

最初に毛を気にしたのは、小学校の中学年の頃だったような気がする。それから体毛をシェーバーで剃る人生が始まった。
最初は脚や手だけだったが、中学生の時に弟から「お姉ちゃん毛深いよね、俺は絶対付き合えない」と静かなる暴言を浴びせられる。
大いに自覚はあったが、いざ言われると改めてショックだった。
それからは水着を着る時、私服で肩が出る時、ダンスの衣装でお腹が出る時など、背中やお腹肩うなじの辺りまで剃りまくった。

家族以外の男性に毛に関して指摘されたのは高校生の時だ。
当時の彼氏と性行為に及ぶ際、彼は私のVゾーンを見て「俺より毛深いじゃん」と笑った。
そして、続けて「パイパンにしてよ」と言った(なんて男なのだろうか)。

世間や他人の言葉で自分を変えないで!あなたの身体は自分だけのもの

その後、県内中心部の美容の専門学校に入学した。
それまで田舎に住んでいた私にとって“脱毛”は、芸能人やモデルがやるものだと思っていた。
だが、クラスには既に脱毛を終えた子までいた。それ以外の子も脱毛している子はとても多かった。
学校の行事などでアルバイトにも頻繁に行けなかった私は、脱毛をするお金なんてなかった。
周りが皆当たり前のように脱毛をすると洗脳されるものだ。何の疑問を持つ事もなく「お金を稼げるようになったら脱毛しよう」と思うようになっていた。

こうして私達は、SNSや広告以外にも家族や恋人、友人や世間にも「女は毛を無くせ」と実際に言われ続けてきた。
これだけ言われ続ければ、そうかもしれないと思うのは無理もないと思う。

なぜ、女は毛があってはいけないのだろう?
なぜ、自分以外の意思で自分の身体を変えなければならないのだろう?
莫大なお金と時間をかけ、痛みにも耐えてまで。
自分の身体くらい勝手にさせてほしい。
それに、これは声を大にして言いたい。
「あなたに毛がある事について非難してくる男性は本当に大した事がない」

毛があるかないかで。あなたの美しさが決まるわけじゃない!

実際に、先程出てきた私の高校生時代の彼氏は本当につまらない人でSEXも最悪だった。
逆に「毛なんてどうでもいいよ」「剃らなくていいよ、生やしてなよ」と言った男性もいた。
彼氏らは本当に私を大切にしてくれたし、SEXも最高だった。

「脱毛すれば?」「毛、剃れば?」と無神経に言う男性が、この先あなたが年老いて体型に変化が来た時、肌にハリがなくなった時、忙しく今より着飾る事が難しくなった時、なんて言うだろうか?簡単に想像できる。
もし、“毛がない女”じゃないと愛されないと思っているなら大間違いだ。
本当にあなたを好きで大切に思っていれば、毛なんてどうって事ないのだ。

それでもあなたが自分だけの意思で脱毛したいならしたらいい。剃りたいなら剃ればいい。
ただ、自分以外の人間や世間の「女は毛を無くせ」の圧力で自分の身体を変えるなんてやめよう。
あなたの身体はあなたのだけのもので、他人の意見や要望を取り入れる必要はないのだ。
毛があるかないかが、あなたの美しさではない。

最後に、それでもまだあなたのパートナーやパートナーになりうる人が「女は毛を無くせ」と言った時のための言葉を残しておく。

「毛 ご と 愛 せ よ」