私の彼氏は借金をしている。現在の借金総額は、100万円だ。
きっかけは、たまたま当たったパチンコのお金で200万円ほどするネックレスを買ったことらしい。パチンコで勝ったお金だけでは足りなくて、キャッシングをして、リボ払いで暮らしている。ちなみに、そのネックレスをしているところは見たことがない。

彼が借金をしたのは4年前。毎月どうにかこうにか返済して、やっと100万円まで減ったらしい。
たかが100万円、されど100万円だ。

お金がすべてじゃないけど、私は彼と安定して暮らしたいんだ…

私は25歳で、彼は27歳。付き合って2年。ぼんやりとだが、結婚だって考えている。
それなのに、100万円もの借金があったことを私は最近知ったのだ。
はじめてのデートで一緒に食べたしゃぶしゃぶも、私の誕生日に連れて行ってくれた箱根旅行も、全部借金だったのだ。

借金だということを早く知っていたら、毎晩のように外食しなかったし、もっと堅実な暮らしをしていた。
彼は目の前の楽しさだけを優先してお金を使い、私は年上の彼を無条件に信じて甘えていた。
その結果が、今私たちの目の前に“借金”という形で聳え立っている。

大切なのは、愛か、お金か。
その問いは究極だ。極端な話、お金があれば大抵のモノは手に入れることができる。
何でも買えるということは、安心感も買うことができる。帰る家があって、おいしいご飯を食べれる。お金がないと、その些細な安心すら手に入れられない。

私は、安定した暮らしがしたい。
特別裕福な暮らしじゃなくてもいい。
ただ、仕事終わりに商店街で一緒にメンチカツを食べて帰るような、幸せな日常を過ごしたいのだ。

2人の問題として解決すればよかった…だから彼女をやめることにした

彼が私に借金があることを打ち明けたのは、この先もずっと一緒にいられると無邪気に思っていた私に、耐えられなかったそうだ。
「自分じゃ幸せにできない」と彼は言った。
お願いだから、そんなこともっと早く言ってほしかった。
今まで一人で抱え込んでいた彼を責めたい気持ちと、全く気づかなかった自分自身への怒りでやるせなくなった。
相談してくれたら、“二人の問題”として解決する方法なんていくらでも考えたのに。

だから私は、彼の彼女をやめることにした。
このままでは彼とずっと一緒にいられない。

「お金ないのに、モヤモヤするとお酒に逃げちゃうんだ」彼が、ぽつりぽつり呟いた。
彼の酒癖の悪さは知っていたが、仕事上のストレスを抱えると、行きつけのバーに行って大量にお酒を浴びてしまうらしい。
毎回ショットを飲みまくって1万円ほど使い、吐きながら家に帰ってくる。
「無駄遣いしないように、お金を管理してほしいの」と私がいうと、親に叱られておとなしくなる子どものように、彼は小さく見えた。

弱いし借金あるし頼りないけど…私はこれからも彼と一緒にいたい

友人にその話をしたら、きっと「そんな男とはさっさと別れてしまえ」と言うだろう。
将来性がない。結婚できるかもわからない。
愛だとか情だとか、そんなことはどうでもいいのだ。

私は、目の前にいるこの弱くて、頼りない彼と、これからも一緒にいたいのだ。

そのためにはお金が必要だ。
借金がある人と安心して私は一緒にいられない。
彼の借金を肩代わりして、私が払ってしまえば彼はずっと私と一緒にいてくれるかもしれない。
でも、それは私と彼にとって何の解決にもならないだろう。彼には負い目を感じてほしくない。

彼がまっさらな状態で、まっすぐ歩けるようになること。
その日がくるまで、私は彼を支えていく。

そして、私は彼のマネージャーになる決意をした。