高校1年生の時、私はダンス部に入っていた。文化祭でのパフォーマンスを終え、1年生は11月のダンス大会に向けて練習をしていた。
月日が経ち、大会間近のある日の夕方、チームメイトの一人に言われた。
「あなたは私たちに比べて太っててプニプニしてるから、踊るとどんくさく見える。大会まで痩せて来て。一人だけ浮いて見える」と、彼女の言葉で私は大好きなダンス部を退部することになり、大学3年生までダイエットに執着していた。
エスカレートしていく外見批判、私はストレスの限界だった…
彼女の外見に対する指摘は、日に日にエスカレートしていった。彼女は部活中、他のチームメイトがいる前でも、私のことを「ぽっちゃり」「デブ」「鈍い」「トロい」と言い、日に日にエスカレートしていった。
まだ幼かった私は、その一言一言をスルーするほどメンタルは強くなく、気にして毎日くよくよしていた。言われたくなければダイエットをして、痩せればいいかもしれない。
しかし、ストレスを抱えすぎ暴飲暴食に走ってしまい、日々体重と体脂肪は増えていった。そんな私に対する彼女の批判は、ますますひどくなっていった。
耐えるに耐えきれなかった私は、母の前で号泣し「そんな辛い思いまでして踊る必要ない」と言われた。ただ、今辞めると彼女以外の他のチームメイトに迷惑をかけてしまうため、大会が終わったら辞めることにした。
幸か不幸か、私たちのチームは大会で優勝した。他のチームや先輩たちからの祝福や今後の期待を受けたが、全く嬉しくなかった。
大会でもらった賞品は、段ボール一箱分のお菓子。「これを食べたらまた太って貶され虐められる」という考えしか浮かばなかった。だから賞品のほとんどは、次の日に学校に持って行きクラスの子たちに分けた。「これで『デブ』から回避できる」と思った。
そして、すぐさま部長と顧問の所に行き退部届を提出。一応彼女を含んだチームメイトにも辞める旨を伝え、退部は穏便に済んだ。
「必ず痩せていないとダメ」なんてルール、この世にない!
退部後、私のダイエット生活が始まった。
①お菓子とジュースは一切口にしない。
②食べていいのは腹八分目まで。
③夜は炭水化物を一切食べない。
この生活を3か月続けた。
結果、5㎏減量した。あの時は、体重が減ったことに満足感を覚えた。
しかし、生理などで体重が増えると一喜一憂し、その都度食事を抜くなど極端な生活を繰り返すようになった。
また、大学に入ってからは、稼いだバイト代でジムに通ったり、ダイエット用品を買ったりしたが、食事はまともにせず、お腹が空いた時だけ食べるようにしたため、食事が偏っていた。そのせいか、今年の健康診断ではコレステロール値が高く出たため、3月から毎朝薬を1錠飲む生活になった。
では、「今は?」と聞かれると、完全ではないが克服した。1番の要因は、自分が作った料理だった。
大学3年生から始めたバイトで、たまに皆のまかないを作ることがあった。食べたスタッフたちから「美味しい」と言われる度に満足感が生まれ、もっと美味しい料理を作るために、腕を磨きたいと思うようになった。
また、料理をしてる時間は楽しく感じ、頑張って作った分食べなくてはならないという義務感があった。そして徐々にではあるが、料理をする回数が増えれば増えるほどご飯をしっかり食べる習慣がつくようになり、大学4年生の時には、毎日3食しっかり食べるようになった。
さらに、NetflixやAmazon Primeなど動画配信サービスが盛んになり、海外のドラマを見て色々な体型の俳優・女優がいることを知り、必ずしも痩せる必要がないと、体型に対する価値観がアップデートされた。
だから今は、健康のために運動はするが、毎日3食食べるようになった。食生活を見直したこともあり、コレステロール値も大分下がり順調であるから、幸せだ。
「デブ」と貶されてトラウマになった私から、伝えたいこと
これだけは世間の人に言わせてほしい。
「他人の容姿に対して軽蔑するような言葉は、決して言わないでほしい」
私みたいにトラウマを抱え、偏った食生活を送り健康に異常が出る人もいれば、摂食障害にかかったり、精神を病み命を落としたりする人もいる。
だからこそ、あなたの基準を他人に無闇に押し付けず、個々人の事を尊重してほしい。
そして、たった一言が他人に一生分の傷を負わせ引きずらせることもあると知ってほしい。
芸能人や雑誌の中のモデルが全てじゃない。
見た目は、一人一人をジャッジする全てじゃない、それが本当の当たり前。