「ないないっ」そう言って今日も床に作ったばかりの食事を投げつけられた。
娘が産まれて早くも一年。
離乳食生活が始まり半年、世間一般では幼児食と呼ばれる類いになっていた。
育児書にはごはんは80gが目安と、言われているが娘はいい所、二口か三口。食べないこともしばしばある。

幼児食になったからと言っていきなり一人でパクパク食べてくれる訳ではない。むしろ自分で食べたがる事が多くなり、自我が出てきたせいか中々食べないことも多くある。食べさせ終わるまでに一時間かかることもしばしば。その間は自分のごはんもまともに食べれない。自分が食べ始める頃には味噌汁が冷え冷えなんてことは日常茶飯事だ。

ベタベタとびちょびちょの連続で抑えられないため息

自分で食べたいと、お粥を素手でつかみ、納豆で手をべたべたにする。手がべたべたになる感触が苦手で手についたお粥を取れと「きーーー」っと泣き始める。時間をかけて作ったごはんは「ないない」と床に投げつけられる。スープをひっくり返し床がびちょびちょになる。

しかもやっかいなのが、娘はエプロンをしないのだ。エプロンを着けた瞬間に大暴れし、食事どころではなくなる。だから毎回エプロンはつけない。食事後は洋服がべたべたになるためシャワーに行き体をながしまた服を着せる。そうこうしている内にまた食事の時間となっている。そんな娘にため息をつきながら「お願いだから早く食べて」といってしまうこともある。きっと私は怖い顔をしていたことだろう。

「ママと一緒に食べたい」ある日気付いた娘の思い

ある日、娘にあーんと言いながら食べさせようとした時のことだった。
「あーん。」と言いながら私に自分が大好きなとうもろこしを食べさせてくれた。
私が食べると満足そうな顔でにこにこしてくれた。
その時私は、はっとした。娘は私と一緒に食べたかったのではないかと。

それからは、娘にごはんをあげながら私もうどんを一緒につまむなど、一緒にごはんを食べることを楽しむようにしている。
食事のマナーやルールを守って食べるのが大切なのではない。手をべたべたにして、口の回りを汚して食べてもいいではないか。
机や床を汚してもいいではないか。拭けばまた綺麗になるのだから。それよりも、美味しく楽しく食べる。
今のこの子にはそれが一番大切なのだ。
食べない日もまだまだあるが、それでも以前よりは心が軽くなり、ごはんの時間を楽しめるようになった。

これから長く続く人生の一歩。元気いっぱい食べて大きく成長してほしい。
そして、食べることは楽しいこと、幸せなことであると感じて欲しいと願いながら、今日も娘と一緒に美味しくご飯を食べていく。