高校を卒業して10年。母校が近くの高校と統合することを知った。
あの校門、あの下駄箱、あの売店、あの教室、あの机。私の青春がたくさんつまったその場所がなくなってしまう。

それを聞いたときは驚いた。その高校は、創立して50年も経っていない。いくらなんでも早すぎるのではないか。嫌だと言ってもどうにもならないが、ただただ唖然とした。

3年間、当たり前に通っていた場所がなくなる。地元の1番好きだった場所がなくなる。

楽しいことも怒られたことも…思い出が詰まった私の大切な母校

今通っている学生から、クラスの数が減ったことは聞いていた。それは今の時代、よくあることだ。しかも、所属していた部活が廃部になったことも知っていた。そのことに対しても聞いたとき、驚愕した。

部活をしているとき、私は真面目ではなかったが、友達と練習したり、大会に出たりしていたあのなんともいえない空間が幸せだった。

生徒から大人気だった売店へお目当ての唐揚げを求め、授業が終わった途端に親友と一目散にダッシュしていたことも、1番後ろの席でクラスメイトの背を盾に先生に隠れながらヘアアイロンをしていたことも楽しい思い出。

数学のテストで100点満点中4点を叩き出し、先生に本気で心配されたことも、歴史のテストでは必ず毎回赤点だったことも、授業中に携帯をいじっていて取り上げられ、その度に反省文を計10枚以上を書き、先生に「いい加減にしろ」と1週間没収されたことも、たくさんの思い出が詰まった日々が忘れられない。

母校が統合する理由はわからないが、受け入れるしかないんだ

だが、思い出してみれば普通科は定員が2倍だったのに対して、体育科の人数は私の代ではもう定員割れしていた。しかし、統合先の高校の体育科は定員割れせず、そこそこの偏差値でネームバリューもあり人気だった。

本当の理由はわからないが、大体そんなところらしい。しかし、どんな理由であれ、なくなるのは変わらない。統合する理由を模索したり、どんなに足掻いたところで現実は変わってはくれない。受け入れるしかないのだ。

学生にとって楽しい「青春」が過ごせるよう、私は母校を見守っていく

でも、そんな大好きだった場所が統合することによって、通う学生たちにとって更に楽しい場所になり、この高校で良かった、楽しい青春を過ごせて良かったと思えるのであれば、それはそれで素晴らしいことなのあろう。

私もあのときの高校を卒業したことを誇らしく思う。あの高校に通えて良かったと思う。統合したとしても、私はあのときに感じた青春を忘れずにいたい。

現在、社会人となって世間の荒波に揉まれながらも、楽しかったあの思い出からは卒業せず、あのときの気持ちを胸に大事に抱え、これから素晴らしく変化していくであろう母校を見守っていきたい。