私のお家は可愛いオカメインコとふわふわのチワワがいて、私の好きな漫画とか499円で買った可愛いパキラとかもあって、冷凍庫にはサーティワンがあるし、最高に居心地がいい私のお城。なんだけど、一つ欠けてるものがあって、うちには父親がいない。
ちょうど私が生まれた頃から、父親はうちには帰ってこなくなった。
奴は私たち姉妹のことも、ひとまわり以上も年下の綺麗なママも、好き勝手に家族ごっこしてボロボロにしてどっかに行った。(もはや父親じゃなくて不倫オジサンでしょ?)
綺麗で大好きなママを泣かせた父の日の真っ黒な絵
憎んではいないけど、幼稚園の父の日に描かされた、真っ黒なクレヨンで塗りつぶした絵を見てママを泣かせちゃったのは辛かったなぁって18になってときどき思う。
(綺麗で大好きなママがわたしを可愛い可愛いって育ててくれたから、わたしは今日まで生きられて無事に女の子してます、ありがとう。)
もちろん父親なんか嫌いだし、どう接したらいいかわかんないし、うんざりするほどパパっ子な他の女の子をみてはエイリアンみたいに思えたりするけど、もちろん私も父親がいた場合の人生を考えてみたりもする。
if、if、if…でも、どうせ手に入ったらどうでもよくなるのです
もし父親がいたら、私が中学のとき痴漢されたあの日、なんて声かけてくれたのかな、とか。もし父親がいたら、姉はグレなかったのかな?とか。(そしたら可愛い甥っ子も生まれなかったってことだから、グレてくれて結果オーライなんだけどね)
歴史にifは禁物って言葉は、ささくれに染みる塩よりもとっても身に染みてわかっているつもりだけど。だって何よりも、無益だし。
そんでママが夜勤のときにベッドでひとり泣いたりして、チワワを撫でにリビングに何度降りたことか。(チワワ、その節は本当にありがとう。私の重たい愛で潰れないように今日もピーンとしっぽをたかくあげててね。)
だけど、人間はないものねだりだから、手に入らないものに執着するのです。
そして手にはいったものは魔法が解けたようにどうでもよくなるのです。
(私の父親がそうだったみたいに!)
家に残った父親の残骸。それ全部私のお城にはイラナイから
家に残っている父親の残骸は、結婚記念日の蝋燭、おっきなプリンター、パソコン(平成初期のだからすっごい分厚いのです)、ヴィトンのボストンバッグ、コーチのサングラス、そして年上のオジサンばかり好きになる私。
あなたの魔法が解けたモノたちは、でていったおねえちゃんの部屋に詰め込んであります。
いろんなところに家族の抜け殻がある狭い家で、私とママの二人ぐらしはときどき切なくなります。(ママのことは大好きだけど)
父親よ、いつか全部引き取りに来て、きちんと捨ててくださいね。
あんたにとっては掃き溜めでも、わたしにとってはひとつしかないお城なんです。