◆なつぺぃさんプロフィール

IT企業に勤務中。かがみよかがみには去年9月から、計18本のエッセイを投稿・掲載。セフレについて綴ったエッセイは、「年間読まれました賞」を取り、「読者だけ座談会」でも推しエッセイに挙がりました。惜しまれながら投稿制限の30歳を迎え、現在はかがみよかがみ卒業生。最近はまっているものは、お料理系Youtuber。

ーー18本もの投稿をしてくれました。投稿してから、自分のなかで変化はありますか?

身軽になったと思います。去年開催されたイベント「失恋女子会」で佐々木ののかさんが仰っていた「エッセイを書くのは髪を切るようなもの」って言葉が、まさにそうだと思っていて。長くて重かった髪が、ちょっとずつ短くなってきて、いまはさっぱりしてきた感じがします。

書くことで、コンプレックスを手放せた

文章にするために、モヤモヤや、重たいコンプレックスと、じっくり向き合った。言語化して、それが世に出た。そんな一連の流れを通して、コンプレックスを手放せた感覚があります。書くことで、わたしは自分を救ってきたんだなと思います。

ーー「書く」だけであれば、ブログや別のサービスなどもあると思うのですが、その中でかがみで書いたことでの意味はありましたか?

編集者さんの目を通してから掲載されることは、大きな特徴だなと感じます。自分の書いた文章が、誰かを傷つけていないか、ちゃんと意図が伝わる文章なのかが不安なこともあったけれど、編集部に見てもらえることで解消されました。

あとは、公開後、自分の予想もしてない層に届くことも、このサイトならではだと思います。より多くの人に知ってもらいたいことは、かがみで書くように意識していました。

多くの人の目に触れるから、紙に書いて下準備をした

ーー書きたいトピックがあっても、筆が進まないことはありましたか?

わたしは書き始めれば、すーっと書けちゃうタイプでした。ただ、下準備は結構していて。

ーー下準備?

かがみよかがみ専用のネタ帳があるんです(笑)。もともとは、編集者さんからのフィードバックをメモして、次の作品に活かすために始めたんですけど。

エッセイで書きたい「テーマ」を付箋に書き出していくんです。
で、そのテーマで最終的に伝えたいこと、すなわち結論を、ノートに書きます。

例えば、セフレのエッセイのときは、付箋に「セフレ」って書いて、ノートには「都合のいい女って言われてヘコむけど、わたし別に都合のいい女じゃない」って書きました。
そこから具体的なエピソードをどんどん書き出して、肉付けしていくんですよね。紙に書いて、ある程度かたちになってきたら、パソコンで書き出していくイメージです。

個人的なブログを書くときは下準備はしないです。かがみは自分の文章が多くの人に読まれる可能性をふまえて、気持ちを整理して、伝えたいことを明確にするように意識していました。

ーー結構集中できる環境が必要なのかなと思ったのですが、いつ書くことが多かったのですか?

エッセイを書き終わったあとって、書いた文章のことで頭がいっぱいになって、夜眠れなくなるんですよね(笑)。平日は仕事もあるし、土日のお昼が多かったです。お気に入りのカフェとかに行って、書きました。

あたらしい世界を見せてくれる、図書館のような場所

ーーなつぺぃさんにとって「かがみよかがみ」とはどんなサイトでしたか?

あたらしい世界を見せてくれる、図書館みたいな場所です。
かがみに関わる前は、フェミニズムについて関心がなかったし、セクシュアリティやジェンダーにまつわる社会的な課題にも意識があまり向いていないような状態でした。イベントやエッセイ、かがみすとや読者の方のTwitterを通して、視野が広がったように思います。コンテンツや、サイトにかかわる人に、わたしは、たくさんのことを教えてもらいました。

自分とは違う意見や価値観って、意識して取りに行かないと目に入らなかったりするじゃないですか。掲載されてるエッセイが自分とは違う意見のこともあったけれど、それも含めてこの1年で視野が広がったなと思っています。

エッセイは、誰かの、ひとつの物語、本なんじゃないかな。背表紙(タイトル)を見て、気軽に手に取ることができる。たまたま手に取ったものにすごく共感したり、新しい考え方を知ることができる場所でした。

ーー書くことを迷っている方へのメッセージをいただけますか?

あくまで、私の話にはなるんですけど。かがみよかがみで、この1年で、書き続けてきて、救われてきました。誰にも話せない悩みとか、自分ひとりで抱えていたものを、解放して、誰かに見てもらって、ときどき感想をもらえることもある。書いてきたコンプレックスの中には、家族や友達にも話せないこともあったけれど、書いたことで同じ境遇の人にも出会えました。

どこにも言えない話をするなら、私はここだと思う

もちろん「書く」ことで批判にさらされる可能性もあります。手放しに「みんな書けばいいよ~」とは言えないです。だから、ただ、一つ言えるのは、わたしは、書くことで救われたってこと。それは紛れもない事実で、それに尽きます。

「いいエッセイをありがとうございます」という言葉だったりとか、読者の方の反応だったりとか。自分の想いを詰め込んだ文章を、こうして受け入れてくれる場所でした。
だから、どこにも言えない話をするんだったら、私は、ここだと思います。

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