私が「周りと少し違う」と強く感じるようになったのは最近の事だ。

注目を浴びると顔が真っ赤になったり、周りの目を気にしすぎたり、人混みが苦手だったり…思えば周りの人よりも、少し繊細な心で過ごしてきた事は明確だった。

私は幼い頃からふくよかな体型で、それがすごくコンプレックスだった。いじられ、誰かと比べられる事が嫌だった。正直、学生時代も社会人でも心ない言葉や態度で傷ついた事はたくさんある。そのせいで周りの目を気にしすぎて、自分を過小評価し自信が持てなくなってしまった。

自分への劣等感や周りの視線、ヒソヒソ話を敏感に感じ取ってしまう…

高校卒業後は、福祉の専門学校に入学。環境が変われば何か変わるかもしれないと思った。でも何も変わらず、自信はないままだった。周りの友達が大人びて見えた。自分は融通の利かない、劣等感の塊だと強く思うようになった。

でも、そんな中で私にも一生ものの親友が出来た。どんな時も味方でいてくれる、心から信頼出来る存在だ。

専門卒業後は、事務職に就いた。しかし、更に劣等感は増していく。当時、メイクも髪型も体型も垢抜けた印象とは程遠かった私の目の前に、明るい色のロングの巻き髪で、まつ毛のくるんとしたバッチリメイクの可愛い先輩や、スタイルの良い美人の先輩がいたからだ。そしてその頃、人生ピークの体重を更新していて外見に自信がなかった私は、劣等感と共に周りの視線やヒソヒソ話を敏感に感じ取るようになってしまう。

でも、そんな中で私には気になる人がいた。営業のAさんは、初対面の時から気さくに話しかけてくれる優しい人で少しずつ惹かれていった。当時、私には付き合っている彼がいたが、喧嘩ばかりで私の心はAさんへと揺らいでしまい、耐えきれず彼へ別れを告げた。

入社後すぐ任された新しい職場で、Aさんと一緒に働く事になりとても嬉しかった。飲みに行ったり、連絡を取り合ったり。先輩方が私の陰口を叩いていたのは気付いていた。私が席を外して戻る瞬間まで、遠くから微かに聞こえていた会話がパタリと途切れるあの感じ…これが先輩方からのいじめの始まりだった。

でも、私には仲の良いAさんがいたからすごく前向きだった。そして、周りを見返して好きな人を振り向かせようと、本格的にダイエットを始めた。必死に頑張って、半年程で18kgの減量に成功。その時は、散々陰口を言ってきた先輩に「どうやって痩せたの?」と質問攻めに合い、小さくガッツポーズしたほどだ。

「大切にしてくれる人を大切にすること」が、私の人生のモットー

そんなある日、私の2歳年下の営業のBさんが入社。とても整った顔立ちで、社内人気No.1のイケメンだった。AさんはBさんを弟のように可愛がるようになった。

Bさんが入社して2ヶ月程経った頃、全国的にも有名な花火大会が開催される土曜日に出勤していた私は、あろうことかBさんから花火大会のお誘いを受けた。驚きと嬉しさが入り乱れたまま、結局、AさんとBさんと私の3人で花火大会へ。2人共お酒が入っていたため、ハンドルキーパーの私がBさんを送り届けた後にAさんを送り届ける事に。

もっとあの時、私が気持ちにブレーキをかけていれば良かったのかもしれない…。それは、酔い潰れたAさんを部屋まで送り届けた時、成り行きで関係を持ってしまったからだ。Aさんは、私を見送る事もないまま眠りにつき、翌日は何の連絡もなし。後悔してもしきれなかった。好きで信じていたのに「結局大事になんてされていなかった」と、好意が見え見えだった私はただ、都合の良い存在になってしまったのだと知った。後日、私はAさんに「全て割り切って切り替えましょう」と伝えた。

その頃からだ。私の人生のモットーは、“大切にしてくれる人を大切にする”になったのは。辛かったけど、仕事では切り替えて何とか普段通りにこなした。

そしてしばらくした頃、Bさんから飲みの誘いがあった。いきなりのサシ飲みのお誘いで驚いたのを覚えている。思えば、Aさんとの件を誰にも話せず、先輩方からの嫌がらせの苦しみから助けてくれたのはBさんだった。

関わりが増えて仲良くなった頃、Bさんとお付き合いする事になった。本当に夢みたいだったが…儚く終わってしまう。私が仲の良かったAさんとの関係性をBさんにしつこく迫られ、正直に事実を話した事で、プライベートではBさんと電話もメールも音信不通に。私は、待ち続けたが限度があった。「どんなに好きな相手でもこんなに不安で苦しいのはおかしい」と幼なじみに諭され、何とか踏ん切りをつけて、私はまた一人ぼっちになった。

そして、元々先輩方から目をつけられていた私は、仕事面に関しても陰口を叩かれることが増えた。でっち上げの噂を流され、故意な仲間外れや無視。更には人とほとんど関わる事のないような部署へ異動させられ、それまで積み上げてきたものを全て奪われてしまった。

人一倍繊細な私だけど、少しずつ「前に進む」努力をしようと思う

みんなが敵に見えた。味方なんていなくて、私は初めて「消えたい」と思うようになった。

通勤中に涙が溢れ、仕事終わりに車に乗り込むと嗚咽と涙が止まらず、ストレスで顔が荒れてさらに自己嫌悪。頭痛と吐き気で病院に行っても「原因不明」で、心も身体もボロボロだった。初めて家族に号泣しながら「辞めたい」と訴えた。そんな私を抱きしめて一緒に泣き、支えてくれた母の温もりと偉大さ。

最終的に追い出されるような形で退職する事になったが、退職日の事は絶対に忘れない。気持ちの込もっていない花束と苦手な元上司の冷めた目。本当に心から辞めてよかったと思う。

今の職場で働き出して1年半になる。ここでも上手くいかない事は沢山あった。考え過ぎて落ち込む事も。そんな時、親友がHSPの存在を教えてくれた。その後、病院に行き自分の診断を聞いて、心が救われた気がした。自分が長年、窮屈に感じていた事はそういう事だったのかと納得した。自分の内面を知る事の大切さを改めて知った。

そして、恋愛。正直、Bさんと別れて以来、本気で人を好きになれていない。好きになってもいつか裏切られるんじゃないかと思い臆病になってしまう。

人よりも少し傷つきやすくて、少し繊細で、曲げられない正義感があって、だから人によっては重たいと思ってしまわれる。

それでも少しずつ前に進む努力をしようと思う。いつか私も心から信頼できる人と出逢えたら、その時は過去に縛られず堂々と自分らしく生きていきたい。