「楽しそうだよね。人生順調でしょ」

付き合いの長い友人からよく言われる言葉である。
昔から目の前の目標に対して、人一倍努力するタイプ。
決めた目標は達成しないと気が済まないタイプ。
責任感が人一倍あるタイプ。
そう、私は、常に全力で、言われたことはきっちりやってきた真面目ちゃん。
そんな私を知っている人は、簡単に言う。
「さすが!すごいよ!」

側から見たらそうなのかもしれないけど、実際はその逆だ。そういう自分を演じてきただけなのだ。
人には弱みも隙も見せないし、いつだって完璧な自分でいたい。誰だって間違いの一つや二つはあるのに、それを誰かに見られるのが恥ずかしくて怖くて。
本当は不器用で、要領も良くなくて、ビクビクと怯えてて、人にどう思われてるのか気にしてて、辛くて、泣きたくて、その割にプライドが高くて、人を羨んで嫉妬ばっかりで…。とにかく自分のダメなところをあげたらキリがない。

私だって誰かに思いっきり頼って、頑張らなくてもいいんだよと慰めてもらいたいのに。
本当の自分を誰かに見せたことってあるっけ?いや、おそらく誰にもない。
そう、私はいつだって完璧な自分を演じ続けてきたのだ。

めちゃくちゃ結婚したいわけじゃないけれど

私の周りで結婚や出産がよく話題になるようになった。だけど私は今のところ、結婚の予定も、もちろん出産の予定もない。「結婚するイメージ本当にないよね。興味もなさそうだし」と笑って言われたことがある。

正直傷付いた。余計なお世話だし、私の何があなたに分かるの?と言いたくなったが「仕事忙しいし結婚とか考えられないや」と思ってもないことを笑って答えた。確かにめちゃくちゃ結婚したいわけではない。だけど、結婚に対する憧れがないわけでもない。

なんで強がってしまったのか。弱みを見せられない自分にも腹が立つ。
それなのに、周りが結婚して、子どもができたりすると、ふと今後のことを考え、突然不安になったりもする。

好きなことを仕事にしたけれど、全く凄くもないし順調でもない

仕事に関していえば、やりたかったこと、好きなことを仕事にしたくて、正社員という安定した地位を、自ら捨てた。もともと頻繁に身体を壊していたことが辞めるという決断を後押ししてくれた。
周りは簡単にすごいというが、辞めるという決断をするまでにかなりの時間がかかっており、私からしたら全く凄くもないし、順調でもない。

今の仕事はもちろん楽しいが、その世界に飛び込んでみると、大先輩はたくさんいて、自分の知識のなさ、経験のなさに落ち込んでしまう。
そして何より今の仕事は、大学院という学歴を持っていた方が有利だ。仕事関係で新しい人に出会うと「何の研究をされていますか?」と聞かれ、苦笑いをしてしまう。
研究していることも大学院という学歴もない私は、やはり周りから、働きながら進学することを勧められる。この世界にいる限り、いずれは考えなければならない、向き合わなければならない大きな壁だ。

どこにいても「当たり前」に当てはまらない自分

結局私は、
世間の女性としての当たり前=結婚
現在の仕事の当たり前=大学院という学歴
そのどちらにも当てはまらない、どこにいても中途半端な人間なのである。
そんな自分に自信が持てず、不安になり、どうしたら当たり前になれるのだろうかと考えてしまう。
当たり前になりたいわけではないのに。当たり前を望んでいるわけではないのに。

きっとこれからも悩み続ける。正解なんてない。当たり前が正解と言い切れるわけでもない。だから私はこれからも私なりの答えを求め、もがき続け、悩み続けるだろう。人生どうなるかなんて誰にも分からないから。
今言えることがあるとすればそれは「当たり前」に振り回されて一喜一憂する自分を卒業したいということだ。