高校生の頃は、日曜日の夜にお笑い番組を見て、次の1週間に新鮮なネタを提供したいと意気込む。誰にでもわかりやすくて、一発でうけるやつ。
同志の友達と共にネタを見て、メールで笑いを共有。ああ、うける。これ絶対うける。次の日から楽しい時間を提供できる。決定しました!!

今だからわかるけど、なにごとも「期待」するとダメなのかもね…

満を持して月曜日、とりあえず渾身の最新のネタを披露していた。低血圧は日曜日に置いてきた。やっぱり、モーニングが勝負。ネタは鮮度が大事だからね。

まあ予想通りだと思うけど、今29歳だからわかったことだけれど、練り練った狙った笑いは…うけない。だから、無論このときも暖簾に腕押し。豆腐にかすがい。はて? なにが敗因だろうか。

理由の一つ。そのお笑い番組を観ていたのは、同志の友達と多分クラスの男子17人ぐらいだったこと。連ドラもある時間帯だもんね…だよね…。こっちは、主人公のキスを観ている間に、ハゲた芸人ネタ観ていたんだもん。

あと、これも今だからいうけど、なにごとも期待するとだめだね。期待すると…うけないよね。笑いは準備しすぎるとだめ。ふとした瞬間にさらりと、さりげなく面白いこと言わないと。笑いながら言っちゃだめだしね。これ、今もできないけどね。だって、面白いもん。

この時から私は、笑いを提供することへの努力を惜しんだことはないぞ。授業で倫理の時間が終われば「アガペー」と言いまくり「ソクラテスの無知の知!!!!!」と言う。意味なんてよくわからないけど、とりあえずうければなんでもいい。ソクラテスとかさ、倫理の序盤中の序盤だからね。倫理の先生泣くぐらい、進化してない。ごめんね、だって難しいもん、倫理。

大学では「お笑い担当」になるべく、鉄板ネタバンバン飛ばしたよー!

で、高校卒業して大学へ行ったわけ。女子大ね。華の女子大ね(正式には、そこ以外全部落ちた)。見た目の大学デビューには失敗したけど、「お笑い担当にはなれる!」と色々がんばる私!

投げる投げる。持ちネタ。高校時代の鉄板ネタも大学では新鮮じゃん?!
う!け!る!よ!ね!

ひょえ?!ん?えっ、あれ?ま、まじ?高校時代うけてたネタがうけないうけない。「無知の知」とか、鉄板ネタだよ?ここから、とりあえず「エロース」とか言っておけば、どかーんだよ!!!

……今だから、わかるよ、わかるわかる。笑いは、相手の歩幅に合わせないといけないのか…と、このときはそんなことも知らないから、空回り。空振り。空振り三振。もはや、ここは見逃しとけばよかった。ボール球思いっきり風を切ってますぞ。

結論を言おう。私はお笑い芸人になりたいわけではないけど、目の前の相手を笑わせることに命をかけている。このことに関して妥協したことはない。

だってそこらへんの男子より面白い自信あるもん。絶対。
大学生の茶髪8人組がユニバーサルで前並んでたら、私の方がこの中に男としていたら、だれよりも最高に笑ってもらえたのにと思うもん。前にいた、山下くん、メガネ逆につけてめっちゃうけてるけど、私なら「時空が乱れてる、お前らは正気か?」ぐらい言える気がするもん。

「面白い」と言われるために健気に頑張る私を、どうか褒めて!

なんかなあ、あんまり褒められないんだよな。たまに、爆笑してもらえるときはさ、本当に狙ってないやつばっかり。

最近は、友人と最近の映画館は一列ずつ開けてるって話をしてて、私は「最近は一行ずつ開けてるもんね」って話したけど、全然意味通じなかったもん。解説するのほど悲しい瞬間ないよ。

転職する予定ないけど、転職したら「長所は面白い」って書きたいのにな。年に一回ぐらいしか「面白い」って言われない。こんなにがんばってるのに…。

ちなみに、このエッセイを書く前も新しい言葉をノートに書いて覚えたよ!!!健気でしょ!!!褒めて!褒めて!やっぱり褒めて!空ぶってるけど、褒めて!もしくはみんな、私の笑いについてきて!!