上手くやってきた。心のなかで叫びながら、私は笑って流すのだ

私は常に仮面をつけている。いくつもいくつも仮面を持ち、それをつけては外しつけては外し、たまに重ねづけたりして毎日を生きている。

それを知ってか知らずか、周りの人たちは言うのだ

「素直で良い子ね」
「あなたほど優しい人はいない」
「あなたを信頼している」

何て言う

まあねー頑張ってるからねーめっちゃ気を使って話してるからーーーー!!

そう心のなかで叫びながら私はにへら~(親友曰く『完璧すぎて気持ち悪い笑顔』)と笑って流すのだ。

上手くやってきた。
バイト先でも、学校でも、友人とも、もちろん、家族とも

私は卒業したのだ、過去の我が儘放題で自己チューで誰からも嫌われていたあの頃から

一人で泣いて喚くのはもう嫌だ

私は、私を愛してほしかった。仮面ではない、仮面の下にいる、私を

私は愛されたかった

無意味に食べ物を詰め込む
便器に頭を突っ込んだまま指を喉に突っ込み腹筋に力をいれる
ガンガンに音楽をかけた一人ぼっちの部屋で、誰にも見えない場所に傷をつける
私は泣いて喚いて暴れまわっていた

違う、私はこんなことは望んでいなかった

私は素直で良い子ではない
私は優しい人ではない
私はあなたの信頼に値する人間ではない

私は、私を愛してほしかった
仮面ではない、仮面の下にいる、私を

でも、仮面をとってしまえば皆逃げていく
知ってるぞ、皆、我が儘が嫌いなんだ
自分ばっかりの人が嫌いなんだ
一緒にいたくないんだろ

だから仮面をかぶり続けるしかない
嫌われたくないから、ひとりぼっちになりたくないから

面白いのが、私はすでに孤独を感じているということ
人といると疲れきって、ベッドの上でぐったりする
でも、人と会わないと怖くなってすぐに予定をいれる
そして人と会うと、その人は私の仮面が好きなんだと勝手に絶望する

私を見て
私を見ないで
私を見てよ!
見るな!嫌いにならないで!!

私を見ても嫌いにならないで!!!

葛藤は続く。この仮面はもはや、私自身といってもいいのだろうか

「誰にでも優しい顔するの、アホらしいって思ってたけどすごいことだって気づいたよ」

高校時代、人に気を使いすぎる私にいつも注意してくれた親友は笑った。

「この間、初対面の人と仕事しなきゃいけないときあってさ。私って初対面には無愛想って思われやすいから嫌だったんだけど、あんたを思い出してにこーって笑ってみたの。そしたらビックリするぐらい仕事しやすかった。

これがあんたの生き方なんだね

まあ、どんな人にでも笑顔を見せるのはどうかと思うけど」

と、親友は話を締め括った。

どうやら、この仮面は私の生き方らしい

私の生き方ということはもはや私自身といってもいいのだろうか

まだまだ私と私の仮面との葛藤は続く
人に嫌われるなんて考えず仮面を取っ払えたらどれほどいいだろう
でも、それで人との関わりが少なくなれば、それはそれでつまらないと思うのだ

私と仮面は、どちらも私で
どちらが欠けてもいけないのだ

この2つが争ってくれることで私は私の生き方を見つけることができる気がする