私は雑誌を読まない。というか、読めない。
両親からのマンガ禁止令の名残で、書籍は文字の羅列じゃないと読めない。
それに加えて、雑誌の内容についていけない。
明らかに自分には似合わない服装。
高すぎてもはや異世界のブランド。
手が届きそうだけど可愛いと思えないブランド。
毎月違うコスメを買わなきゃいけないのだろうか。
2年前に買ったアイシャドウまだ残ってるんですけど。
写真が多すぎて内容が頭に入って来ない。
他人の恋愛事情やその他のアンケートも読み飛ばしちゃう。
その界隈の有名人のインタビューも、最近のドラマも興味ゼロ。
雑誌1冊で同じ値段で中古本が何冊も買える。
だから今まで雑誌は滅多に買わなかった。
買ったのは、彼氏ができたとき、別れたとき、もっとおしゃれになりたい!と思ったとき。
モチベーションが高い時期に買っても、結局何の参考にもならなかった。

私は私のファッションが大好き、だけど、「普通」とズレてるみたい

一目ぼれしたTシャツとパーカーをヘビロテして、水筒と本を持ち歩きたいから大きいバッグを買って、ボロボロになってるけどまだ買い換えてない。
友達にもらったお気に入りのアイシャドウとリップとグロスは固定、自眉の上にマスカラつけて、友達に教えてもらった通りに頬骨にチークをぽんぽん。
恋愛も自分で考えて対処して(だってみんな違う人間だもん)、連ドラは全く観ず、Amazon primeで2000年代の映画を観る。
流行りには乗ってないけど、楽しい生活です。

雑誌は読まないけど服を選ぶのは好き。
好きな国とのフェアトレードの服とアクセサリーと、海外で買ったサンダルとバッグ、とっても合ってる!バッグに水筒も本も入る!いい世界観!かわいい!って、楽しんでいた。

そう思っていたんだけど。
私は変な服装みたい。
好きな格好して出かけると、同性の友だち、異性の友だちにも何かしらコメントをされる。
“れてぃの眉毛細いね、しかも下がってるよね、いつも。”
“クラッチバックとタイパンツで、東京の中心街来ちゃうんだ?”
“もっと女の子らしい服装したら?”

もっと色んな事を言われてきた。

中でも一番傷ついたのは、
“あ~~、れてぃっぽ~い!れてぃが好きそうな格好だね(笑)”
って言われる時。
えっ、今のどういう意図がある?もしかしてバカにされてる?
気にせずに無視して貫けばいいんだけど、気にしちゃう。
もしかして私普通じゃない?
隣にいたくないって思われてる?
こうやって言ってこなくても、周りの人も同じことを思っているのかもしれない。
10年前のトラウマを思い出すことが増えてきた。

「普通」=「自分を押し殺す」はティーンで卒業、じゃなかったの?

私だって普通でいたい。
小学五年生で転校した私は、運動も絵も歌も下手、だからといってテストもいい点数とってるわけじゃない。
全体的に出来ない生徒だった。
普通の子じゃなかった。
新しい環境で生き残るために、服装はもちろん人間関係では普通の女の子でいようと心がけた。

みんなが先生の悪口を言ったら、それに倣う。その先生が好きでも。
多数決で多そうなところで挙手をする。好きじゃない案だと思いながらも。
みんなが聴いてるCDをレンタルする。好きじゃなくても。

とにかく普通でいたい。
みんなと同じ。
普通でいたい。
自分の意見を抑えて、みんなの意見を探った。
顔色を伺うってやつ。

その結果、友達ができなかった。
きっと私は何かがズレてるんだ。
自信がないのきっとバレてた。
当時友達が出来ないというのは地獄。
修学旅行で組む友達がいない。
一緒にテスト勉強する友達がいない。
だからどんどん自信がなくなって、どんどん個性を閉じこめて。
嘘の自分だからまた自信がなくなって。
このループから抜け出せなくなった。

この時のことを思い出す。
大きくなったら個性を出せるようになるって信じてきたのに。
もう普通じゃなくてもいい年齢だと思ってたのに。
気にする自分も悔しい。

今でも服装はズレてるんだね。
やっぱり普通じゃないんだね。
容姿でバレちゃうんだね。
せめて服装くらいは自由でいたかったな。
自信持って着てたのに。
本来ファッションって自己表現のひとつのはずなのに。
容姿をジャッジする手段がファッションなんだね。

結局私も自信を持てるのは「普通」の服装のとき、になってしまった

周りから言われるよりもっと嫌なのは、この子おしゃれ!って思うのは図らずも雑誌から飛び出してきたような子ばっかりなこと。
今日の自分普通におしゃれっぽい、って思う服装は全部最近のトレンドだった。
自信を持って着れているのもトレンドの日だった。

トレンド=普通。
普通=正解。
正解の服装になっていれば容姿を褒めてもらえるし、印象は良いんだろうな。
痩せてるとと大きく加点されるんだろうな。満点なんだろうな。
かわいいって思ってもらえるんだろうな。
考えてみれば当たり前だ。正解だもんね。普通だもんね。
やっぱり正解の方が自信持てちゃうみたい。
自信が持てる服装は雑誌にも明記されてる。
それでも、かわいいと思えないから季節の素材のアクセサリーは買う気がないし、
最近流行りのトップスもワンピースもバッグも持ってない。
20代になって自由になった今、好きな服=自信を持って着れる服、ではないことを学びました。

好きを貫くのは難しい。普通のオフィスカジュアルで武装したいよ

春から社会人。会社にはオフィスカジュアルで行くことになるみたい。
オフィスカジュアルの正解はより神経質になった方がよさそう。
やっぱり雑誌を読んで正解に近づいた方が、きちんとして見えるのかな。
しっかりした容姿の方が、ちゃんと仕事出来る人に見られるのかも。
トレンドのオフィスカジュアルだと、普通の人だよって証明できるのかも。
かわいがってもらえそう。
10年前の悪夢がちらつく。
悪夢に勝つ対処法は自信を持つことっていうのは学んでるけれど。
結局は、容姿で判断されてしまうのかな。
新卒一年目は大事だし、雑誌買ってこようかな。
自信を手に入れるのには、自分の不得手にも挑戦しなきゃいけないし。
精一杯の不正解の”好き”を貫けそうもないな、私。
自信ないもん。
きっと何かがズレている私、容姿くらいは普通でいたい。
来月、いい付録の雑誌買ってみようかな。