今、わりとちゃんとした会社で
まじめにOLをしている私は、
大学生の頃、
いわゆる「ギャル」の見た目だった。
付けまつ毛を上にも下にも付けて、
髪はブリーチしてアッシュに染めたり
少し毛先をピンクにしてみたり。
整形するほどの勇気はないけれど、好きにはなれない私のすっぴん
片方二重、片方奥二重の目と、
人より少し大きめな口と鼻。
ニキビ跡がところどころ残る赤い頬。
たぶん、世間一般で見たら、
すごくブスではない(と信じたい)
けど、決して美人ではない顔。
「目が両方ぱっちり二重だったら」
「小鼻が小さくて、鼻先がツンとしてる
顔っていいなあ」
「もっと肌が強くて、美肌に生まれたかった」
そんなコンプレックスがちりばめられた、私の顔。
朝すっぴんで、鏡を見て思うのは、
「とりあえず、全部がいまいち!」
朝の支度がとっても好きな時間だった。
朝の支度は自分を作り上げていくワクワクした時間
その顔に、まず下地→ファンデーションを塗ると、当時は主流だった、
マットで落ち着いた肌質に。
二重幅の違う目に付けまつ毛を
バランスよく乗せたら、
どちらの目もそこそこ大きくぱっちり。
大きさの気になる鼻は、
ノーズシャドウを入れて小さく。
髪は内巻き外巻き交互にして、
ほぐして、
前髪はかき上げて、少し流す。
メイク・ヘアの雑誌を
たくさんたくさん読んで
研究した成果が集結した、
私の顔が作られていく。
ああ、何だか、少し「美人」ランクの
仲間入りができたような気持ち。
今日は何を着よう、
ピアスはどれにしよう。
ワクワクしながら、
見た目は「ギャル」に
仕上がっていく。
「ギャル」な見た目に自信が持てるようになった効果
当時アルバイトしていたのは、
関西の都会の居酒屋さん。
これがまあ、ギャルがウケる。
元々人と話すのは好きな性格もあって、
ノリ良く話しかけてくれるお客さんが
たくさんいた。
ギャルって、ノリが軽そうに
見えるから?
彼氏もいながら、
そこそこモテる生活が続いた。
見た目に自信を付けると、
自分がキラキラするのだと思う。
(あと、今なら分かるけど、
社会人には一定数、ギャル好きが
思ったより存在する。)
見た目至上主義なので、
最高5キロくらいのダイエットにも成功し、さらに自信をつけていくという
良い循環がギャル時代は続いた。
就活で「卒ギャル」。黒髪に無難なスーツに「これは、誰?」
そんな楽しいキラキラ生活も、
大学3回生になると、一変する。
「インターン」というものは、
どうやら早めに黒髪にしないと
いけないらしいと知って、
見送って様子を見ていたが、
いよいよ本格的な就活の時。
覚悟を決めて、黒髪に。
まつ毛も取って、就活メイクに。
キラキラした服ではなく、
かわいくない就活スーツに袖を通す。
「これは、誰?」
私じゃなくなったような私を
面接モードに無理やり切り替えて、
もらえた内定。
ああ、これで髪を染められる。
1番に思ったのは、それだった。
「ギャル」を黒歴史にはしない
入社してみて、同期を見ると、
板についているナチュラルメイク・
黒~こげ茶の地毛に近い髪色と
オフィスカジュアル。
私はまだまだ見た目が迷子。
入社前までギリギリ
明るい茶髪にしていたので、
海苔の様な黒髪。
ギャル服しかもっていなかったので、
慌てて買い揃えたユニクロの
無難オフィスカジュアル。
朝の支度のワクワクは1ミリもなく、
自分でもわかる、「これはださい!」
同期に昔のSNSが見つかって、
ギャル時代をとてもびっくりされた。
今のださい私から、
想像がつかなかったのだろう。
「ギャルだったんだ~!」と笑われた。
笑われたことが何だか腹が立った。
あんなにキラキラして
楽しい日々だったのに、と思った。
ナチュラルメイクでは
元から美人が正義だもんね。
それじゃあ、勝てません。
つまんないかも、社会人!
どうやったら楽しくなるの?
元「ギャル」な私の、OLとしての楽しみ方
ギャル時代を胸に、見た目を研究研究。
どうにかマツエクの権利を勝ち取る。
これで目の大きさを確保。
ギリギリの明るい髪を攻めて、
ショートヘアにして明るさを
カモフラージュ。
服は、可愛らしいキレイめよりも、
シンプルで、パンツスタイルの方が
自分には似合う。
スーツは、パリッとかっこよく。
うんうん、見た目がしっくりくると、
仕事も自信が持ててきた。
ギャル魂の、見た目至上主義が
仕事のモチベーションを保ってくれる。
社会人の方が、
合コンもたくさんあるし、
清潔感とトーク力があればモテる。
ショートヘアの清潔感よ、ありがとう。
彼氏にも恵まれて、OLとしての
見た目も楽しめるようになった。
清潔感の皮を被った、
ギャル時代の私は、私の一部となって
今日も私を励ましてくれている。
「今日のまつ毛の上がり具合調子良い、
いい日になるぞ!」