中学生のとき、自分のことを男の子だと思っていた。
サッカーをしていた。
黒髪のウルフカット、綺麗に着いた筋肉、中性的な顔。
私服で電車に乗ったら、何度か知らない女の子からの目線を感じたし、話しかけられたり、女子高生に跡を追いかけられたりしたこともある。
友達のお母さんには「うちの子と歩いてるとカップルみたいやね」と言われ、髪を切った日には兄から「俺もお前の顔やったらなあ」と言われた。

女としての私は、ランク圏外?

私は女だけど、もし男というジャンルだったらモテていたと思う。
クラスでの「〇組だったら誰がかっこいい?」という話題では上位にいたかもしれない。

じゃあ、女だったら?
女だったら、私はランク圏外だ。
「あいつだけはありえへん」と男の子が話すのは、いつも私だ。

好きだった男の子も、クラスで1番可愛い女の子が好きだった。
その男の子に振られた時は「しゃあない。あいつよりわたしの方がイケメンやから」と思った。
少女漫画なら「もっと可愛くなって見返してやる!」となるところで、私は「もっともっとかっこよくなりたい」と思った。

そんなことを考える私は、十数年前の田舎の中学校では変なやつだったと思う。

性別で服装が決まるなんてクソや!

「スカートで登校したくない」と担任の先生に言ったことがある。
「でも男の制服しかズボンはないからな、制服着られんのも今のうちやから」となだめられた。

スカートを履きたくない一心で、私服の高校に入学するために美術高校を受験した。
入学してみたら、
「私、今日のTシャツ、ミカヅキモやねん!」
「いまセミのぬけがら集めてるねん!」
変なやつばっかりだった。

ああ、自由だなと思った。
性別で服選ぶなんてクソや。着たい服を着たい人が着たらいいねん。

そう思ったら、ある日突然スカートが履きたくなって、初めて自分のお小遣いでスカートを買った。切りっぱなしの真っ黒なニット地のスカート。
バッチバチだ。
かっこよくて、かわいかった。
そしてめちゃくちゃ私に似合った。

私は女だけど、メンズの服が似合うし、今はレトロワンピースも好きだ。
女、男、どちらの魅力も持ってるなんて2倍得だな。

彼氏と「朝ごはんにパン屋さんに行こう!」と、スウェットとジャージパンツで外に出たら、多くの視線を感じた。
手を繋ぐ私たちが、男性同士のカップルだと思われたようだ。
でもそう見られるのも悪くなくて、私は好きだ。

私は私として生きてる。
ロングヘアとか、スカートとか、そんな見た目が女としてのカテゴライズ分けになるなんて吐き気がする。

「誰か」に求められた「女らしさ」や「こうであるべき」なんて無責任で窮屈な箱に、収まることはない。
私は私の人生を、私らしい形で謳歌したらいいねん。