「れてぃ、英語しゃべれるの~?」
「うん」
「すご~い、そしたら海外で働けるね!色んな仕事できるね!就活にもよさそうだね!」

このやりとりを、何回繰り返したことか。私は日本生まれ、日本育ち、両親は日本人。
留学経験ゼロ。いわゆる純ジャパの私は、英語しゃべれる人がカッコイイと思った。だから、英語しゃべれるようになったら、ちょっと生きづらいっていうお話。

英語しゃべれる人が全員、日本に疑問を持ってるわけじゃない!

就活の面接で「国際的なインカレに入っていたので、英語で国際法についてディスカッションしたり、模擬国連や模擬商談をしていました。インドでヨガの資格を取りました。趣味はオンライン英会話です」って答えると、どうなると思う?

「海外で働かなくていいの?」「ウチ、海外支部ないけど大丈夫?」「なんでウチなんかに?」ってさらに質問を重ねられる。

「逆にどうしてですか?」「英語を頑張ってきたら、日本の会社を志望しちゃいけないんでしたっけ?」「ランニングが趣味の就活生は、貴社に応募しても問題ないんじゃないですか?でも、オンライン英会話が趣味な私は、問題児ですか?」って聞きたいよ。

知り合いには、英語しゃべれる=可能性が広い人に見られ、人事には英語しゃべれる=グローバルに働きたい人に見られる。確かに色々な価値観や概念に触れてきたし、今まで60ヵ国近くの人と話をした。ハリウッドスター、海外のメイクやファッションにも憧れる。
YouTubeも外国のばっかり観てる。でも、だからといって、日本のことを斜に構えて見てるわけじゃない。外国が羨ましくなることもあるけれど、それでも海外移住を熱望するほどじゃない。

むしろ、アイラブジャパンだよ。プロブレムだらけだけど。サムタイムズ つらいけど。それに、ヴィーガンやプラスチック問題、人種にだいぶ前から興味を持っていたのも、英語やこれまでの経験とは全く関係ありません。小学生の時に見た、地球温暖化で困っている島やホッキョクグマの写真を覚えているだけ。ユニセフのポスターが忘れられないだけ。英語系や海外系の人とたまたま興味がかぶっただけです。どうぞアンダスタンドしてください。

色メガネで見ないで。私は自分の「可能性」を磨くために必死だっただけ…

私にとって英語がしゃべれる、ということは、自分を守るための手段だったの。国語も算数も図工も体育もだめだめだった私が、成績を取るために中学生から頑張っただけなの。個性がなくて埋もれてしまいそうな高校時代で、自分の可能性を磨きたかっただけ。怖くてたまらなかった大学受験の偏差値源だと思って、必死になっていただけなの。
だから、そこまですごい人だと思わないで。

教えて、そしたら英語をしゃべれる人が就く仕事ってなに? どんな価値観を持っていたらいいの? 確かに英語しゃべれて本当によかったし、英語しゃべれる人の恩恵は受けてきた。海外に興味があるから、英語のおかげでやりたいことに挑戦する足かせはなかった。可能性は本当に広がった。

それでもやっぱり、英語しゃべれる人への色メガネ、やめてほしい。キラキラして、自信満々なわけじゃないよ。日本が嫌いなわけじゃないし、みんなと同じJKしてきたし、スーパー最先端大学生なんかじゃない。意外とふにゃふにゃで、周りを気にする人です、っていうのが伝わらなくて、無駄に肩の力を入れていた時期が長かった。

なんかすごい人って見られるのが嫌だし、言葉にされるのはもっと嫌。「英語しゃべれる」って言っただけで「いいな~」「おお~すごいね!将来は海外で働けるね!」の二択なのはどうして? そんなにすごい人じゃないんだけどな、私。

だから私は、次第に英語や海外の話をしなくなった。一線を引かれるより、聞き手に回った方が圧倒的に楽。

でも、すごく生きづらい。自分の好きなことについて話せない、意見交換できないっていうのは想像以上につらかった。自分の個性をゲットして生きやすくなるための英語が、今度は英語系の個性を求められているような気がして、生きづらくなった。

英語は、私の「個性の1つ」だと見られるようになったから言うよ

結局、私の就活がどうだったかというと、英語を使う機会がなかなか多い会社に入ることになりました。それも、面接を受けて英語が多い会社なのを知った。「海外出張と海外とのやりとり多い会社だけど、英語しゃべれそうだね?」「海外出張多いんだけど、飛行機大丈夫?一人で乗り継ぎしてもらうこともあるんだけど」って聞かれた。「どちらも問題ありません。」と答えた。返しは「なるほど」と言われただけで、英語をしゃべれることを褒められなかった。ただの事実として扱われた。

“海外にたくさん行って、英語をしゃべれる人”という見られ方から、“私という就活生の個性の一つに英語”という見られ方をした。

朝はスムージーを飲まないし、ジムに通ってるわけでもないし、前髪かき上げ女子でもない私も「英語しゃべれる」って言っていいということ、英語を始めて11年目、就活の面接で知りました。

だから、やっと言える。実は英会話をずっと頑張ってきました。「難しい」と言われた年の高校受験の英語の試験、満点でした。センター試験のリスニングは、満点で筆記は2ミスでした。同じアジアの学生がどんなことを考え、何を目指しているのか知るために色んな国に行きました。どん欲に海外経験を探し求めてきました。その時の友達とのつながりで、Instagramのフォローも半分は外国人で、だから英語と日本語で投稿しているのです。

私、英語を操れて海外にたくさん行く人に憧れて、前向きに色々な努力をしてきました。英語をしゃべれる人はすごいと思ったから、頑張ってみました。憧れを掴みました。これからもすごい人でいられるように、海外出張楽しむために頑張ります。