私は、女だ。
心も体も、女だ。
だけれど最近勘違いされることが多い。

化粧っ気がない
服もカジュアルな着こなしで
ベリーショート
そのためか、よくトイレや更衣室で2度見されることがある。

私は周りの評価から逸脱しないようにと考えていた

昔は、自分のなりたい姿と、世間が女の子っぽいと思う姿の中間の装いをしていた。
だからか、どこか中途半端で垢抜けない、表情の暗い女の子だった。
しかし、女子校で運動部だったこともあり、かっこいいと言われることがあった。
かっこいいと言われるたびに嬉しさもあったが、それ以上に、かっこいいと言われなくなるんじゃないか、という不安に襲われた。
そんな不安にせかされるように、容姿をかっこよく見せなければと思い、髪を短くしたり、男っぽくなろうと日々奮闘していた。

当時の私は、「かっこいい=男らしいこと」だと思っていたので、歩き方や立ち居振る舞いは、兄のまねをしていた。
兄の真似をしていたことがよかったのか、紳士だとか優しいだとか、かっこいい以外にも良いと言ってもらえるところが増えると同時に、ますますそうでなければいけないと、自分を縛り上げていった。

周りの人はそんなことを考えずに、純粋に褒めてくれているのに、私は評価から逸脱しないことだけを考え、過ごしていた。
そんな私は、私がなりたい私ではなかった。

周りの目を気にせず好きな姿になろうと決めた

しかし、私にも転機がやってきた。
惰性で留年していた大学を中退し、小説家を目指そうと決めた。
親に反対され、辞めることができないと思っていたが、勇気を出して話してみたら、渋りながらも、認めてくれた。
自分の中で作り上げられていた親という存在が想像に過ぎないと実感した瞬間だった。
本心はわからないが、小説家になりたいという私のことを応援し、今までと変わらず気にかけてくれる親を見て、今まで自分が世間の目や他人の意見に流されていたことにも気づかされた。
その体験をきっかけに、押し殺していた自分と向き合い、自分が好きなものを発掘し、周りの目を気にせず好きな姿になろうと決めた。

ピアスを開け、ホワイトタトゥーを彫り、メンズの服を買った。
そして結果的に、世間的に男っぽいと思われる容姿になっていった。
それでも私は今の私が大好きで、容姿にとても自信がある。

自分をどう魅せたらかっこいいかを考えるようにしている

だけれど、近年セクシャルマイノリティの認知度が上がり、心が男性の人がトイレに入ってくることが気になる等の、意見を聞くことが増えた。自分もトランスジェンダーだと思われているのではないかと妄想してしまい、トイレや女性専用車両など、女性しかいない場所での視線がとても気になってしまう。
自分が好きな恰好をすることで、他の人を、不快な思いをさせているのでは、と不安になってしまうこともある。
だが、自分のためにも、直接言われていないことで悩むより、自分をどう魅せたらかっこいいかを考えるようにしている。

そんな私は、ベリーショートに飽き、髪の毛を伸ばすべく、2年計画を練っている。