私には憧れの先輩がいます。その人は、非常に頭がよく、いくつもの一流企業でのキャリアを積んでおり、性格もよく、おまけに超がつくほどの美人です。
「果たしてこの人は同じ人間??」 そんな風に、ため息をつきたくなるような、そんな素敵な女性です。
どんなに努力しても、憧れの人と同じにはなれない
●欲望 ー憧れのあの人になりたいー
「憧れの誰かになりたい」 誰もがそう思ったことがあるはずです。たとえば、私は、女優の米倉涼子さんが好きなのですが、「あんなに整った顔に生まれてみたら、女優さんのように綺麗なら」と思ったことがあります。憧れの誰かになりたいという思いは、一部の天才たちをのぞいて、誰もが共通して芽生えたことがある感情です。
●矛盾 ー憧れの人になろうとするほど思い知る、私はあの人にはなれないー
一方で、憧れの誰かになろうとすればするほど、いやでも思い知らされるのが、「私は憧れの人にはなれない」ということ。
例えば、私の場合、憧れの先輩を目指して、色々と試行錯誤してみるのですが、どうもうまくいきません。見た目であれば「どうして私の髪は、どんなに毎朝アイロンをかけても、夕方にはボサボサになっているんだろう...」「どんなに肌をケアしても、ニキビが出てきて、全然綺麗にならない...」。仕事であれば「どんなにいろんな本を読んで勉強しても、憧れの先輩のような、頭の回転が早い、キレッキレの判断で、仕事をさばいていくことはできない」のです。もちろん、多少なりとも努力はするので、自分の見た目は少しはましになりますし、仕事の質も(かたつむりのような速度ではありますが)上がっていて、自分の成長に繋がっているとは思います。ただ、憧れのあの人を目指せば目指すほど思い知る、私は「憧れの先輩」にはならないという事実。自分がどんなに努力しても「憧れの先輩と同じ」にはなれません。
同じになることを目指して負のループに陥らないように
●葛藤 ー綺麗になるには、終わりがないー
少し話はそれますが、たとえ憧れの誰かを目指していないとしても、何かを目指している人にも同じことが言えると思います。
例えば、「綺麗になりたい」という感情。私には美容整形の経験はないのですが、綺麗な自分を目指して、簡単なものであればアイプチ、大掛かりな手術であれば、目鼻の美容整形をした方もいるかと思います。美容整形自体は悪くないのですが、一つ直すとまた別のところが気になってしまって、負のループにハマっている人もいるのではないでしょうか。これは私の想像も入ってしまうので、確実なことは言えないですが、色々と整形した結果「綺麗には終わりがない」ということを、いつか知るタイミングがくる、人もいるのではないかと思います。
●繰り返す矛盾と葛藤 ー自分は自分でしかないけれど、誰かになりたいー
私は誰かにはなれない。当然です。見た目にしろ、性格にしろ、能力にしろ、生まれや育った環境や周りにいた人も全く違うのですから。同じ人間は一人としていません。
もちろん、憧れの人がいたり、その人を目標にして頑張ったり、自分のエネルギーにすることはいいことです。ただ、憧れの人と、全く同じようにはならないのだから、その人と同じになることを目指して、ネガティブループにハマってはいけないし、そうなると元も子もありません。
矛盾と葛藤のループを繰り返しながら気持ちを切り替える
なので、私は「自分は自分でしかない」と考えるようにして、憧れの先輩はあくまでも目標程度にして、日々を過ごすようにしています。
ただ、なかなかそれもうまく行かず、ふとした瞬間にまた憧れの先輩になろうとして、自分とその人を比べて落胆してしまいます。そして、また気持ちを切り替える。こんな矛盾と葛藤を繰り返しています。
結局、私たちは「自分は自分」「憧れの誰かと同じにはなれない」の矛盾と葛藤をループしながら生きていくのでしょう。こんなに考えて、わかっているのに、ふとした瞬間、深夜の自室で一人になった瞬間などに、また、不安な気持ちがよぎってしまうのですよね。「憧れのあの人になれたら」