“おじきゅん”で、人気になったドラマ『私の家政夫ナギサさん』を観ていて、母のことを思い出して心を動かされたシーンがある。

第3話で、主人公のメイ(多部未華子)が仕事を頑張りすぎて疲労で倒れてしまった時に、母親が苦手な料理をスーパー家政夫のナギサさんに教えてもらっておじやを作るシーン。そこで、母親がメイをぎゅっと抱きしめて「大丈夫、どこにもいかないから。お母さん、ずっとメイのそばにいるからね」と言葉をかけるシーンだ。

憧れの一人暮らし。私は、しばらくして「現実」を知った

3年前、わたしは就職を機に京都の実家を離れて、関東で初めての1人暮らしを始めた。学生時代、1年間留学していた時に寮生活をしていたことはあったが、1人暮らしの経験はこれまでなかった。最初は、“1人暮らし=自由”のイメージが強く、憧れの生活を送ることができるという気持ちが強かった。

だが、しばらくして現実を知ることになる。学生での1人暮らしならまだしも、“社会人で新入社員として働きながら”、“関東という慣れない場所で”、“知らない人ばかりの環境の中で”というトリプルパンチで、完全にノックアウトされてしまった。いわゆる、ホームシックになってしまったのだ(社会人でありながら、恥ずかしい話だが)。

そもそも、学生時代から東京への憧れがあり、若いうちは東京で経験を積みたいと思っていた。入社して部署も希望通りに配属され、憧れの生活を手に入れたはずだったが、慣れない環境での初1人暮らしは想像以上に大変だった。

仕事も大変で余裕がなくなってしまい、キャパオーバーしてしまった

最初はお弁当を作って自炊を頑張っていたし、部屋のインテリアを自分好みに揃えていくことも楽しかった。新入社員当初は定時で帰っていたが、徐々に残業することが増えていくにつれて、余裕がなくなっていった。どんなに遅くに帰っても家事をすべて1人で行わないといけないし、悩み事があっても頼れる家族がすぐ側にいない環境でいっぱいいっぱいになってしまった。自分のキャパシティーを超えてしまったのだ。

そんなホームシックな状況の中で、久々に帰省する機会があった。帰省中は楽しかったが、関東の1人暮らしの家に帰らないといけない日が近づくにつれて、案の定帰りたくなくなって憂鬱な気持ちになっていた。

そんな時、実家を出ないと帰りの新幹線の時間に間に合わなくなってしまうギリギリまで粘っているわたしを見て、お母さんがぎゅっと私を抱きしめて「お母さんの子だから。大丈夫」と言葉をかけてくれた。

『私の家政夫ナギサさん』の第3話のメイと母親のシーンを観た時に、母を思い出したのだ。どんなことがあっても自分のことを信じてくれる家族がいる。帰る場所がある。お母さんはそのことを教えてくれた。

どんなことがあっても私のことを信じてくれて「ありがとう」

お母さん、今わたしは関東にいて、コロナウイルスの影響でなかなか簡単に実家に帰れない状況だけど、いつも信じてくれていてありがとう。近い将来、笑顔で会おうね。それまでお互い元気で過ごそうね。

いつか、お母さんみたいな、温かさと優しさで家族を包み込めるような素敵なお母さんになりたいです。