わたしはかわいくなくてはいけない。
わたしのことを周りの人は、かわいい子として扱わなくてはいけない。
ああなんてかわいくない、かわいいの暴力。

わたしかわいくなりたい。今どのくらいとか関係なく、あくなき欲求として、もっともっとかわいくなりたい。けれど、それはかわいくならなきゃいけないからなんかじゃなくて、かわいくいなきゃいけないからじゃなくて。
なりたいからなりたくて。なりたい自分になりたくて。そうでありたくて。てか、そういうもんでしょ?かわいいって。
なのになに?今のこの惨事。

ミスなんちゃらなんて肩書を二つも持っている。んなわけないだろ、を覚悟で言う。こんなつもりじゃなかったんだ、ほんとだよ誰か信じて。

肩書のあるわたしは、いつでもかわいくなきゃいけない

かわいくなりたい日と別にどうでもいいやって日がある。メイクに服に頑張りたい日も、とにかく楽さだけを追求したい日もある。睡魔がすべてに打ち勝っていてとにかくぎりぎりまで寝ていたいという日もある。わたしはおそらく、普通に普通の女の子だ。だから当然わたしの顔面のコンディションは、日によってばらつきがある。それも当たり前の、普通のことではないだろうか。

でも、わたしにはそれが許されないらしい。いつでもかわいくなきゃいけないらしい。どれだけ爪を立てがりがりとやってみてもどうにもはがれない肩書のせいで、わたしはいつどんな時も、周りの人にかわいいねと言われるから。それぞれの好みも感情もガン無視で、わたしの肩書によってかわいいねと言わされる周り。わたしの気分もコンディションもガン無視で言われるから、申し訳ないから、極力みんなにうそをつかせないために、かわいくいなくちゃいけないわたし。
なにこれ、ばからしいな。

わたしが女の子をかわいいと言うことは嫌味らしい

わたしは女の子のかわいいを引き出す活動をしている。そのかわいいを発信する活動。女の子をかわいいって言葉で肯定する活動。まだまだだけど、頑張っている。めいっぱい、あなたはかわいいと、女の子に伝える努力をしている。本気でみんなをかわいいと思っているから、わたしは彼女たちのかわいさをちゃんとわかっているから、それを本人にもその他大勢にもちゃんと伝えようとしている。かわいいでしか救えない感情はあるとわたしは知っているから。かわいいあなたに自信をもって生きてほしいから。でもときどき、挫けちゃう。

嫌味だと言う人がいる。わたしが、肩書を持つわたしが、この顔を持つわたしが、‘持たざる者’にかわいいと言うのは。わたしが女の子をかわいいと評し紹介し発信することは、嫌味だそうだ。

女の子をかわいいと肯定するためには、まず自分からだと思っているから、自分のことをかわいいと思っていることは否定しない。自分をかわいいと胸を張って言えない人にかわいいと言われても、説得力に欠けると思うから。顔だって、こうだったらいいなと思うことばかりで特別好きなわけじゃないけれど、やっぱり特別なわたしだけの顔だし愛着はある。それも全部含めて、わたしはかわいい。他の女の子同様に、わたしにもわたしだけのかわいさがある、と本気で思っては、いる。

わたしの肩書で差別することも、ルッキズムそのもの

けどそれは当然顔だけの話をして、のことではない。ましてや肩書なんて一ミリも関係ない。
なのに、わたしの生まれ持った良くも悪くもどうにもならないオンリーワンな顔を持ち出して、お前にはできないと言う人がいる。わたしの頑張りなんて何も見ず、肩書であなたには無理よと宣告してくる。わたしが女の子にあなたはかわいいと言ったら、かわいいから自信をもってと言ったら、どうしても嫌味になると言ってくる人たちがいる。

じゃあなに、わたしにどうしろって言うの。死んで受精からやり直せばいい?ミスなんて肩書を持ってしまったのが失敗だった?あなたはルッキズムがぁとご立派な正義を振りかざしているけれど、そのもとでかわいいの証拠と言われがちなミスの肩書を批判するけれど、わたしの活動を全否定するけれど、あなたが一番ルッキズムの権化じゃない。
容姿で差別することされること、それがルッキズムの問題点でしょう。あなたが言っていること、それよ、そのまんまよ。

と、これもすべて嫌味になってしまうのだろう。恵まれた者の憂鬱で片づけられてしまうんだろう。だからわたしはこんなこと、口が裂けても絶対に、言えない。言わない。おほほって薄っぺらな笑顔浮かべて、のらりくらり。

みんなにも自分にもかわいいよと言ってあげたいだけなのに

仕方ないからわたしは業務の日、極力かわいくなくしていく。本末転倒だと、わたしがやりたいことの真逆のことになってしまっていると、わかっていながら。でもだって、ほかにどうしたらいいのサ。この顔面とこの肩書を持っちゃってるんだもの、それはもうどうにもならないんだもの。だからわざとノーメイクで髪をひっつめて、全身黒子のジャージ姿で。嫌味なんかじゃないから、本気であなたをかわいいと思っていてそれをわかってほしいから、すこしでもそれが伝わるように、わたしはかわいくなくなろうとする。全力で女の子を応援する側であることと、わたしの容姿や肩書に何の相関性があるのかわからないまま、いや、ないことをわかっていながら。理不尽な奴に負けないために、理不尽に甘んじている。わたしだってかわいいのに。みんなと同じく、かわいいのに。それだけなのに。みんなと同じように自分のことも肯定してあげたいだけなのに。それをしないと、わたしがみんなに言うかわいいはどんどん薄っぺらいものになってしまうと、わかっているのに。でもそう簡単にいかないのだ。どういうわけか。

ああいやだいやだ。かわいくしたい日にできないことも、かわいくなんてしたくない日にもかわいくしなきゃいけないことも。どっちも、ばからしくてやっていられない。やっていられないけど、今日も結局そうやって一日を過ごした。

わたしも、みんなと同じく普通で、みんなと同じく特別にかわいいはずでしょう。それともなに、お前がいるとそんなに何もかも変わってしまうの、肩書さん。ねえ、何とか答えてよ。