二重じゃなきゃ可愛くない?一重”でも”と褒められるもやもや
「かわいい女の子」
ぱっちり二重の茶色い目で鼻筋の通った高い鼻、薄い桃色の愛らしい唇に細くてすらっとした長い脚、みんなが守りたくなるような小さくて細いカラダ。
みんなが「かわいい」と口をそろえて言うモノ。
自分とは正反対の「かわいい女の子」がもっているモノ。
わたしがずっと欲しかったモノを持っている女の子たちがうらやましかった。
重い一重に真っ黒の目、低い鼻に厚い唇、足も長くないし体もがっしりしている。
そんな自分がずっと好きになれなかった。
「一重でもかわいいよ」「一重でも目が大きいね」
その中でもいちばん好きになれなかったモノはいつも友達から褒められる重い一重だった。
「なんで“でも”がつくの?やっぱり二重じゃなきゃ可愛くないの?」
みんな褒めてくれるのに、褒めてもらえてうれしいはずなのに、わたしのなかにある黒いモヤモヤがどんどん大きくなっていく。
大学1年の春、ついに二重整形。少しずつ見える景色が変わっていく
それに耐え切れなくなった大学1年生の春、わたしは二重整形をした。
あれほど欲しかった「かわいい女の子が持っている」二重はあっけなく手に入った。
少しの痛みと引き換えにお金を払って手に入れたきれいな二重、うれしかった、ずっと欲しかったからうれしかったけど。それでも元から二重の人はこの痛みもお金も必要なかったんだと思うと悲しくて、苦しくて。
最後まで一重の自分を好きになれなかった申し訳なさと、黒いモヤモヤからやっと解放される安心感で、手術中は涙がずっととまらなかった。
二重に生まれ変わったわたし、でも最初はそれだけだった
二重になっても特に代わり映えのしない毎日、二重以外は相変わらず好きじゃない自分のまま、漫画や映画みたいにいきなりハッピーエンドになるわけでもないわたしの人生。
でも、それでも、少しずつ少しずつ、出来ることが増えていった。
前よりメイクが楽しくなった。鏡に映るわたしに少しだけ笑いかけられるようになった。いろんな人と目を合わせて話せるようになった。街を歩くときに前を向けるようになった。
どれもこれも昔の自分では出来なかった。今も自信をもって出来ることではないけれど、たまに落ち込んじゃう時も必ずあるけれど、それでも少しずつ変わっていくわたしは前よりも好きになれた。
昨日の自分より明日はもっと好きな自分へ。二重がくれた素敵な魔法
二重はちょっとずつわたしに勇気をくれる魔法みたいだった。苦しくてずっと泣いていた昔のわたしをやさしく抱きしめてくれる。なんでも願いが叶う魔法のランプや王子様が迎えに来るような素敵なガラスの靴みたいにすごいものではないけれど、それでもやっぱりわたしにとっては世界で1番素敵な魔法だった
わたしは二重にすることを選んだけれど、整形して二重にすることが正義だとは思わないし、一重を悪く思っているわけでもない。
ただ、周りの目を気にして苦しくて整形を選んだわたしみたいに悲観的な選択ではなく、整形を「もっと好きになれる自分」になるための選択肢の1つだと思ってほしい。
もっともっと、みんなが自分を好きになれるようになってほしい。一重でも二重でも、どんな肌の色でも、みんなが素敵って思えるような。
そう願ってわたしは今日もちょっとずつ勇気を出す。
鏡の前で少し笑って、明日はきのうのわたしよりもう少しだけ