ついに初潮を迎えた日、自分自身にドン引き、母に言い出せなかった
私が初潮を迎えたのは、私が12歳の時だった。
下着についた血液を見て私は思った。「ついにきてしまった…。」
特に驚きや不安はなかった。なぜなら私が初潮を迎える前から、母が生理について教えてくれていたからだ。
「女の子は大きくなったら生理が来るんだよ。」「生理が来たら赤ちゃんが産める体になった証だよ。」「パンツにこのナプキンを貼って過ごすんだよ。」などなど。
いろいろな知識を、起こる前に教えてくれた。その他にも、初めてつけるブラジャーのこと、セックスのこと、コンドームのこと。小さい頃から言われてきた。この手の話題は、子どもの私でも流石に早いのではないかと思っていたし、なにより恥ずかしかった。恥ずかしいことだと思っていた。
だから初潮を迎えたとき、「生理が来た。」と言い出せなかったのだ。
知識だけが先につき、いざ自分がそうなると、心がざわざわして仕方がなかった。母の言う、「赤ちゃんが産める体」に遂になってしまった私に、自分自身がドン引いていた。
代わる代わる言われる「おめでとう」に恥ずかしさと不安がこみ上げる
とりあえず教わった通りナプキンをつけ、1日を過ごした。そして家に帰ってトイレに行き、また教わった通りにナプキンを丸めてゴミ箱に捨てた。
私は、「どうか母にバレませんように…」と思っていた。が、速攻でバレた。母もたまたま生理だったのかもしれない。ゴミ箱に自分が捨てた覚えのないナプキンがあったから察したのだろう。
私のところへ来て、「生理になったの?」と聞いた。私は照れ隠しですっとぼけて、「わかんなーい」と答えた。「言わなきゃダメでしょ?」と言われ、これまた「忘れてた」とすっとぼけた。言いたくなかったし、生理になんてなりたくなかった。
私は考えた。「生理が来たから、これからもっと胸が大きくなり、セックスもするかもしれない。そしてコンドームってやつを何らかに使うんだ…。その気になれば妊娠もできてしまうんだ…。」自分の意思とは反して、女の身体になっていこうとする自分が恥ずかしく、気持ち悪く感じた。そしてそのまま母は祖母に初潮になったことを伝えにいった。祖母は、私に笑顔で「おめでとう」と言った。私はそれが気持ち悪かった。「なにがおめでとう?赤ちゃんが産めるからおめでとう?こっちは全然おめでたい気分じゃないのに。股から血が出たのに…おめでとう?おかしいんじゃないか」恥ずかしさと不安で泣きそうだった。
無垢な弟の好奇心が恥ずかしさを助長する、忘れられない最悪な日
そしてその日の夕飯。食卓には赤飯が出された。まだ小さくて無垢な弟は「何でお赤飯?」と母に聞いた。母は、「おめでたいことがあったからだよ。」と弟に教えた。弟は、「なにがおめでたいの?」と思ったより食いついてきた。私は恥ずかしくて下を向いてしまった。母は、「お姉ちゃんが赤ちゃんが産める体になったんだよ。」「なんで?」
頼むからやめてくれ。純粋さゆえのその好奇心を今すぐやめてくれ。
父も祖母も祖父も黙ったまま。地獄のような空気だった。私は恥ずかしくて、気持ち悪くて、逃げ出しそうだった。私は下を向いたまま、黙って赤飯を食べた。味はしなかった。
赤飯を炊いた私の初潮の日。
おめでたいのだろうが、私には一生忘れられない最悪の日だった。