私が総理大臣だったら、女子高の卒業式前日に、メイク講座と恋愛対策講座を必修として設置したい。
高校は女子高に通ったのだが、まじめな校風と3年間女子だけと接する環境により、大学入学時、周囲とのギャップに戸惑った。
とくに困ったのが、メイクと異性交遊だ。
堅い女子高から華やかな大学生活へ。なかなか埋められないギャップ
校則には、「いかなる化粧も禁止」と書かれていた。だから学校でもプライベートでも、メイクとは縁なく高校を卒業した。
しかし大学にいた女子は、みんなばっちりメイクでおしゃれをしている。
「大学生って、健康診断にもおしゃれしてくるの?」と戸惑い、あせってドラッグストアに駆け込んだ。
私の知識は、そもそもなにを買えば化粧ができるのかすらも、わからないレベル。BBクリームの上から、リキッドアイライナーだけを引き、顔を溶かすなどしていた。ダサい上に、ドロドロの自分がみじめだった。
その後メイクは、所属したサークルのコスプレ研究会で教えてもらった。基礎はわかったが、コスプレをするためのメイクなので、濃くなりがち。
あとメイクのついでに、ダサく見えない無難な服装も教えてほしい。制服がないと、毎日服を選ばなくてはいけないけど、最初はなにを着たらいいかわからなかった。
なかなか馴染む勇気が出ず、遅いスタートをより遅くしていた
恋愛についても、「世の女子はここまで乱れとるんか」という印象すら受けた(今思えば、そこまででもないかもしれない)。
私の高校では、彼氏もちはクラスにひとりかふたり程度。修学旅行の夜なんかに盛り上がる恋バナも、「ABC」でいう「A」止まり。
それなのに大学の女子は、
「人気ある先輩を好きになっちゃって、もうワンナイトでいいから関係もちたいの!」
「じゃあ、おすすめのホテル教えるよ」
なんて会話をしている。
私の偏見だが、女子高出身者は恋愛をこじらせているか、まったく男性と関わらない人でわかれていると言っても過言ではない。
そういえば、優しい男の先生に恋愛感情をもってしまう子は学年に数人いた。チョロいか、ガードが固すぎるかの両極端なのだ。演劇部で男役をしている先輩も人気だったから、女の人が恋愛対象でも、ギャップが出てしまうのではないか。
ちなみに私は恋愛どころか、異性となにを話せばいいのかすらわからないタイプだった。「夢物語だと思っていた恋愛が身近にある」というギャップが怖すぎて、オタクとつるみながら「リア充爆発しろ!」と言って4年間を過ごした。
遅いスタートダッシュを、より遅くしていただけだったと後悔している。今からでも、間にあうのかな。
ギャップで怖い思いをしないよう、後輩を送り出してあげたい
高校時代の後輩と会うと、「うちの高校は、卒業前にメイク講座とメンヘラ対策(つまり、異性ときちんとつきあうための)講座をやるべきだよね」という話になる。
在学中にどちらも学べる子は、ゼロではないが、やはり少ない。
メイクと異性交遊を学ぶことは、性教育であり、コミュニケーション講座であり、マナー講座でもあると思う。
あらゆるズレに対し「私って女子高出身だから」と、言い訳をする人がたまにいる。けれど卒業したら、自分たちを守っていた「女子高」というシェルターは通用しない。
マナーは空気を読むためではなく、自分を守るために必要だ。
厳しい校則で流行りのおしゃれができず、異性交遊の機会がなかった高校生活を、私は恨んでいない。
むしろあこがれて入った、大好きな学校だ。地味な制服に身をつつんでいても、異性の目を気にせず、優しい先生に見守られた環境で、みんなのびやかに思い思いのことをしていた。「本当の個性は、見ためには左右されないのだ」と知ったのは、高校のおかげだ。
化粧もおしゃれも自由選択だし、どんな人を愛するか、そもそも恋愛をするかどうかも、その人が決めればいいと思う。
だけど周囲とのズレや知らないことがコンプレックスになったり、ギャップで怖い思いをしたりしてほしくない。
だから「こういう世界も待っているよ」「こうすればいいよ」「怖くはない、大丈夫」と言って、後輩を送り出してあげたい。
女子高限定ではなく、近隣の女子高生や希望者も参加できたり、OGの話が聞けたりするとなおよいなぁ。