私は大学4年生の秋頃まで、ショートからミディアムといわれる長さでした。

父がロングヘアーになることを禁じていた

中学生までは父に伸ばすなと言われていたから。男兄弟の家庭で育った父は、元々がキレイ好きな性格なのと、床に長い髪が落ちていることに不慣れで耐えられないという理由で、私たち姉妹へロングヘアーになることを禁じました。

また、私たち姉妹は太っていました。
「デブほど髪を伸ばしている。清潔感のないデブは嫌われる」と、よく言われました。小学生までは2~3ヶ月に一度、前髪が伸びると美容室に連れていかれます。私は母に似て癖があり、前髪を分けると跳ねてしまうのです。イメージは、あたしンちの弟の前髪そっくり。

高校生になって父の監視が緩みましたが、髪を伸ばすと矢印のように同じ方向へはねる癖があるのと、長年ショートで生きてきたので、肩に付くまで伸びるとうざったく感じてしまい、結局ショートからミディアムの間で過ごします(とくに夏は伸ばしたくなるのに、冬ほど切りたくなりました。こちら北国在住なので、冬は氷点下が当たり前)。

就職してから、憧れてたロングヘアーに

大学生になり、さぁ伸ばすぞ!と息巻いたのも束の間、定期的に髪を切りたい衝動にかられ、またしても同じ長さへ。

看護大学生の秋は就職活動、最後の実習、卒業研究、そして国家試験に向けて勉強を同時並行しており、切りに行く時間的、精神的余裕がなく(とくに私は思い詰める性格なので)、気が付けば1年近く伸ばしていました。

就職前に1度カットしたのですが、職業柄髪を縛って纏めたほうが働きやすく、そこからお団子ができるセミロングで過ごしています。憧れてたロングヘアー、風で髪がなびくと少しだけいい女感を楽しみます。

あの丸顔でショートヘアーだった女の子はもういない

でも、もうショートに戻れません。

ここまでまた伸ばすのにどれくらい時間がかかるかな、とか。
その間の中途半端な長さのとき、どうしたら良いかな、とか。

今周りにいるひとは私が長年ショートだったことを知りません。あの丸顔でショートヘアーで、実の父親から太っているから髪を伸ばすのを禁じられた女の子は消えて、骨ばったロングヘアーの女性が鏡の前にいるのです。

私は憧れをひとつ手に入れたけど、手放す勇気、過去の自分、正しい食事と精神状態を失ったのです。