14歳から19歳まで好きだった先輩へ想いを伝えられなかった6年間、私は何度か髪をバッサリ切った。

関係を壊してしまいそうで、ずっと言えなかった。先輩が他の女の子の話を楽しそうにした時、諦めようかと悲しくなった時、なかなか会えなくなってしまった時、私は髪を短く切った。

髪を切った次の日、いつもより少し遅く登校して教室のドアを勢いよく開ける。クラスメイトが驚いたように私を見つめて、誰かが「髪切ったの!?」と声を上げる。私はそれに明るく「失恋しちゃったー!!」と返すのが好きだった。半分はおふざけで、半分だけ本当なことはだれも知らない。

今までで髪を1番短く切り終わった恋。前進したくて髪を明るくした

大学生になり、先輩と同じ大学への進学は叶わなかった。誘われていたサークルには入ることができなかった。やらない後悔よりやる後悔。19歳の冬、6年間胸に閉じ込めた気持ちを震える声で伝えた。

私たちの6年間が壊れてしまった。そう簡単に壊れるようなものではないと勝手に思っていたけれど、人生は難しい。今までで1番、髪を短く切った。

夏が来て、20歳になった。まだまだ心の中から消えてはくれなかったけれど、前に進む決意をした。「地毛なの!?明るくていいなぁ…」と周りの友人から羨ましがられていた私の髪も、大学生になると暗く真面目に見えるようになっていた。初めて髪を明るくした。

鏡に映る私の顔は、なんだかいつもと少し違った。髪に合う服、メイク、髪型を探しながら少しずつ自信をつけて。何度かつまづいたりもしながら、いろいろなことに挑戦した。もう二度と恋なんてできないと思っていたけれど、気がついたら心から好きな人ができていた。

髪を染めたあの日から走り続けていた足を一旦止め、鏡の中の私と再び向き合ってみた。あれから何度か髪を染めたが、どんな色だっただろうか?あまり思い出せなかった。大学生の頭の色。みんなお揃いの髪の色。私の髪色はどんな色だった?光に当たると透き通った栗色になる、母と同じ髪の毛が恋しくなった。

家族にも伝えず変えた髪色。鏡の中の私は、知っているいつもの私

勇気を出して染めた髪。私を少しだけ強くしてくれた明るい髪。数週間後には振袖の前撮りが控えている。垢抜けた私?ありのままの私?なかなか気持ちが決まらなかった。

「今の色と、昔の地毛の色、どっちが似合ってる?」

私には好きな人に合わせて服や髪型を変える趣味はない。自分の好きなものを、好きなときに身に纏いたい。一応、聞いてみた。

「今の色も似合ってるけど、前の方がおれは好き。地毛だったんだ、すごい綺麗だなって思ってた。」

家族に何も伝えず予約した美容室から帰った日、玄関の扉を開け私の姿を見た母はとても嬉しそうな笑みを浮かべた。鏡の中にいる私は、私の知っている私だった。

「そう言えば、おれが好きって言ったから髪の毛もとに戻したの?」

今はもう恋人となった人が隣でわたしに問いかける。

半分は間違いなく私の意思で、もう半分は…