海外留学やさまざまな場所で褒められる、大好きな黒髪
私の髪の毛は黒い。黒々として昔の日本貴族のようだとよく言われる。日本人のほとんどは程度の差はあれ、髪の毛が黒いのではないかと思う。
そんな黒髪が好きではない人が多いのか、大学生になると髪を染める人が増える。周りの友達も、入学した頃とは髪色が違う人が多い。しかし、私は自分の髪が好きだ。
それには理由がある。幼い頃から家族や友達に自分の髪を褒められてきたからだ。幼心にも褒め言葉は嬉しい。
カナダに留学した時には、ホストファミリーにこの黒い髪を沢山褒めてもらった。そして、世界にはこのように黒い髪を生まれながらに持っている人は少ないということを実感した。そのような経験から、私はますます自分の黒髪が好きになった。
友達に触発され、実はずっと憧れだったヘアカラーをついに決意
しかし、髪色を染めることへの憧れは常に持っていた。「どんな色が私には似合うのだろう?」「私の髪がこんな色になったら、もっと違う印象になるのではないか?」
そんな興味から、髪色への執着は人一倍持っていたに違いない。それでも私が黒髪を貫き通していたのは、髪色が変わることへのちょっとした不安と、「日本人は黒髪が美しい」とするステレオタイプによるものだった。要するに保守派だったのだ。
そんな私だったが、友達に触発されて髪を初めて染めることになった。その友人はアメリカに住んでいて、ピンクのような色に染めたようだった。また、妹はインナーカラーを入れ、素敵なグリーンに染まっていた。保守一辺倒の私の瞳にはそんな彼女たちが羨ましく映った。そしてとうとう、ヘアカラー専門店に予約の連絡をしたのだった。
そこからの私は浮き足立っていた。「どんな顔にはどんな色が似合うのか」「私にはどんな色が似合うのか」染めたことのある友人に聞いたり、インターネットで調べたり、持てる限りの資源を使って調べ回った。そして、予約当日。私は期待と不安を半分ずつ持ちながらサロンに行った。
希望いっぱいの帰り道。新しい髪色が私に自信と輝きをくれた
美容師さんと一緒に髪色を考え、悩んだ末に赤色に染めることにした。
染め終わり帰路についた私は、希望でいっぱいだった。こんなに自分が輝けるなんて。こんな日が来るとは夢にも思っていなかった。
光があたると赤みがわかるような色に染めた。本当はもっと明るい色を期待していたが、私はこれで大満足だった。染料が髪に染まるのに1週間ほどかかると言われ、その後1週間はうきうきしながら過ごした。髪色を染めたことを伝えると会った人は口々に「似合ってるよ」と言ってくれた。それまで頑なに「日本人は黒髪」というステレオタイプを守ってきた私だったが、それを手放して「輝く私」を手に入れることができたのだ。
輝く私はなぜか以前より堂々と出歩けるようになった。固定観念を捨てるとこんなにも楽になるのか、と驚き、同時に自分に自信が持てた。
次はどんな色に染めようか。私の想像はふくらんでいく。