暑くなったり、寒くなったり。今年の秋は気候に振り回された。先日アパレルショップで働く友人とお茶をしたのだが、その時も「今年はアウターの売り上げが伸びない」と嘆いていた。

最近は異常気象のせいか、暖冬続き。私の住む地域では、ホワイトクリスマスなんてここ数年経験していない。暖かさを保つ機能性下着が異常な数量売れ残ったことが、ニュースに取り上げられた年もあったような。企業努力で生まれた先進的な機能なのに、それが仇になって売上が落ちるなんて。やはり人間は気候には勝てない。

そういえば、我が家にも気候に負けっぱなしのメンバーがいる。紹介しよう。それは私の旦那なのだ。

衣服選びで気候に負けっぱなしの旦那を見て思う、衣食住の大切さ

旦那は服選びが不得意だ。センスが悪いとかそういうことではなく、気候に合わせた服選びが苦手なのである。なので彼は頻繁に、出先で暑くなったり、寒くなったり。はたまたリビングでもドラマを見ている時に寒くなって、ブランケットに包まれて大きな白熊みたいになっている。

その上その白熊は、衣替えもギリギリまでしない。まぁそれは「奥さん手伝ってあげなよ!」って話なんだけど。いや、なんかさ…。それを毎シーズンやってあげてたら、それはもう私がオカンになっちゃうじゃないですか……(結婚6年目、ここが正念場)。

彼の住まう6畳の城の片隅には、未だに薄~い夏服がたっぷり積んであるし、冬服は彼がなんとか引っ張り出してきた数着しかない。嫁の私はそれを見て見ぬ振りしながら、ぬくぬくとセーターを着て生活しています(もう12月)。……さすがにそろそろやりますか?一緒に(嘆息)。

そう思うと、「衣食住」とは本当に大した用語だよなぁ。中でも「衣」はウェイト低そうに見えて、案外重要な役割を担っている気がする。整った生活を目指すならば、服の管理は必須だ。気候に合わせた体調管理のためにも、清潔な住環境を保つためにも。

服の洗濯は、人が人らしく生きるために欠かせない家事だ。この夏、重いつわりを経験した私には、はっきりとわかる。料理、皿洗い、そして洗濯。最低限この3種の家事さえコンスタントにこなせていれば、我が家が滅びることはなかった(見た目は壊滅状態だったけれど)。

また、服の管理は、物を大切に扱い、無駄なものを買いすぎない精神と直結している。服の趣味や体型が変わりやすい我々「かがみよかがみ世代」は皆、常にこの問題と向き合って生きているのではないだろうか。正直に言うと、私だってこの点、あまり得意ではない。クローゼットから服が溢れては処分、溢れては処分、その繰り返しである。それでもまた服は溢れてくるのだから、不思議なものだ。

ココロナや気候変動で何もかも変わり、逆風が吹き荒れるアパレル業界

コロナ禍で服を買うことには色々と制限がついた。服を通販で買うのは元々当たり前、郵送で返品交換できるシステムも、お店に訪れなくて済むのでありがたかった。

そして、何を着て暮らすかという選択にも、大いに影響が出ている。各家庭のクローゼットで、お出かけ用に買った服が着てもらえないままで眠っていたり、通勤するために揃えたブラウスが在宅ワークの影響でスウェットに居場所を奪われたりしている。

先日、2021年の福袋をネットでチェックしていたら、私の好きなブランドが、「今年はルームウェアにもなる!」というワンマイルウェア的なラインナップで、福袋を展開していた。なるほどな、と思う反面、コロナ禍でアパレル業界が生き残るには、これくらいの戦略はサクッと打てないとダメなのかと感じ、結構切なくなったりもした。かくいう私も、おこもりの冬に備え、あのルームウェアブランドの8800円福袋をポチった。

福袋の他に、妊婦の私が最近ネットで探している服は、出産直前まで、そして産後にも着れるもの。「前がボタンになっていて、お腹が大きくても、抱っこ紐を付けていても着れるケープ」と、「産前産後の体型変化に対応し、なおかつ授乳しやすいカシュクールのニットワンピース」だ。こんなピンポイントな商品を探して、夜な夜なネットの海を漂うのは、時間の浪費だろうか。しかし、買った後の生活を考えると、妥協はできない。

着用シーンや値段にやたらとこだわる、私の様な検索魔の消費者が増えたことも、アパレル業界の衰退と無関係ではないだろう(友人すまん)。また、クーポンやセールなどが当たり前になり、定価で服を買うという体験も、もはやレアになりつつある。実際、店舗でスマホを触りながら、何やら比較しているお客さんもたまに見かける。そしてここ数年の異常気象、さらに今年の自粛生活。何もかもが逆風となって、アパレル業界に吹き荒れている。

ファッションは単なる娯楽ではなく、重要な生活基盤の一部

しかし、先ほども述べた通り、「衣食住」の「衣」は、軽んじて良いものではない。ファッションは単なる娯楽ではなく、整った生活を支える基盤の一部。リビングで震える白熊にとっても、1着のために夜な夜なスクロールを続けるネットサーファーにとっても、衣服は生活していく上で、なくてはならないものなのだ。

アパレル業界の衰退は、近い内に私たちの生活を脅かすようになる、かもしれない。もしかしたら、「あの頃は良かったな~、たくさんブランドがあって。みんなそれぞれ、好きな洋服が選べていたんだもんな~」と嘆く日が、近い内にやって来るかもしれない。

過去に一世を風靡したブランドが、規模を縮小したり撤退したりといったニュースが、最近後を断たない。流行が素早く広く伝わる現代においては、ファッションでその人の個性を出すという文化も、淘汰されつつある気がする。もしかしてアパレル業界、既に末期まできているの?それともこれも、業界が発展するための一過程だと思っていてもいいのだろうか?

とにかく私は、せめて今すでに持っている服達だけでもしっかりと管理して、大切に着るようにしていきたい。そしてまた、リアルの店舗で気兼ねなく買い物できる日が来たら、友人の働くお店を見に行こうっと(頑張れA子!)。