2002年生まれ。昔から大変落ち着きが無かった。絵や物語を描く他、声優ごっこが好きな女の子だった。中学校で奇行が増え学校に行かなくなり、流れで通信制高校へ入学。

スマホを手に入れると、メンヘランドでみんなと交流し始めた

少し癇癪持ちだが基本的にビビりで繊細。嘘一つ付けない孤独な子供時代だった。そんな中、高校生になってスマホを手に入れるとすぐに探したのは同じ生きづらさを持つ者たちだった。ツイッターアカウントを作ると、孤独な世界を彷徨った挙句ツイッターに辿り着いた人をたくさん見つけた。大抵その人たちは病名をプロフィールに並べ、日常や病気の話をしていた。自分も幼なげながら似たような話でみんなと交流し始めた。(この世界を「メンヘランド」と呼ぶ)

謎おじさまと仲良くなった。口は悪かったがとても優しくしてくれた。彼はこれまで色々な場所を回っていたらしい。居場所が無くて苦しんでいたのだ。同年代の少女と仲良くなった。よく死にたいと言う。彼女とは現実でも会うくらいに仲良くなった。二人とも距離感がとても近かった。それで困ったこともあったが、誰よりも気が合い今もこんな風に書けるくらいには距離が近い。

色々な人と関わった……。メンヘランドで培ったメンタルヘルスの知識がちょっぴり強みになった。汚言症の人と電話をしたのはとても良い経験だった。一緒に創作してた統合失調症の友人は可愛がってくれたが、距離感が上手くいかず結局疎遠になった。今も仲良くしている人もいるが、大抵の人は諸行無常に出会っては別れての繰り返しだった。

この閉じこもった世界にいると自由になれないのかもしれないと感じた

外の世界は怖い。バックグラウンドには彼らを追いやった人がいる。「普通じゃない」というレッテルがあるとなぜか叩いてもも良いと思う人がいる。現実でもそうだが、ネットもそんな人が多い。世間から外れてるなら馬鹿にしてもいいと思う心弱い者がどこでも潜んでいる。

私はここにいると自由になれないのかもしれないと感じた。ありのままでいるとメンヘランドという閉じこもった世界にいてしまう。ありのままはここ以外では通用することがない。閉じこもった世界の外は自分を隠し生きていかねばならない。

そこで感じるのはあらゆる恨みであった。今まで居場所が無かった私が、大人になって具体的な世界の線がだんだんと見えてきた。このままメンヘランドの住人によるメンヘランドの住人のための囲われた場所がそこにあり、そこの悲しみはどこへも行かずにそこへ留まっているのだろうか。私は彼らの為になりたいという気持ちと同時に「自分だけでもここから外に出ることができないのかな」と出口も探し苦しんだ。

それから、メンヘランド自体からは一年ちょっと過ごしたところで抜けてしまった。完全には治せないとしてもずっとメンヘラのままでいるのは嫌だった。私は何も言わずに去ってしまったし、不自由はやめたいと考えた。しかし私はあの世界とあの人たちををこの目で見ていた。この一年で深く世界の狭さを知って成長した。苦しいやりきれない気持ちは心に残って取れなかった。

一人メンヘランドから抜け出したのならそれ相応に成長したい。その気持ちが私を突き動かした。誰かにこのことを描いて伝えたいと思った。隅で彷徨い生きている人がいるということをどうか知って欲しい。そして世界が変わって、少しでもありのままで過ごしたい。この気持ちを伝えるための次の段階へ行く。まだ独りよがりな描きものかもしれないけれど、いつかきっと誰かにメンヘランドの線を超えこの話が届くはずと信じて。世界を変えに行こう。そう思った高校時代だった。