小さい頃からヒーローもののアニメが好きで、保育園の頃の夢は美少女戦士。魔法使いになりたい、なんて思っていたこともある。

幼い私の憧れの対象はいつだって“普通ではない、何か特別な力を持った女の子”だった。
そんな夢みがちな幼少期を過ごしていたためか、学生時代も「普通の人」で括られるのが嫌だった。

「普通」なんて一言で言っても、それが具体的にどんなものなのかはよくわからないし、「普通」であればそう括られたほうが生きやすいということも頭ではわかっていた。

それでも私はそうなりたくはなくて、わざと他の人とは違うようなちょっと変わった子を演じていた。もちろん怪物と戦う正義のヒーローにも、願いは全て思い通りの魔法使いにもなれるわけなんてなくて、なれるものといえば「クラスのちょっと変わった愉快な子」ぐらい。

「そんなの普通じゃないよ」なんて言う他人からの批判的な言葉も、むしろ心地よく感じていた。
良く言えば『自分の意思をしっかり持った子』だけど、それと同時に『頑固で、場の秩序を乱す存在』でもあった。きっと敵も多く作っていたんだろうなぁと、大人になった今では苦笑いするしかないような思い出ばかりで頭が痛い。

そんな問題児である娘を周りがどう言おうと気にせず愛情を注いでくれた母には感謝してもしきれないし、親の寛大さには尊敬している。

就職すると目立たないように生きることが楽だと学んだ

就職をし、社会に出た今ではとにかく目立たないように生きていくことが楽だと身を持って思い知った。
私も「社会を変えよう!」とか大それた事を思った事は無いが、皆さんどうも右に倣えの精神がお好きなようで、少しでも人と違うことをしたらどこかで角が立つ。学生まではそれでも許されていたけど、会社に入ってからはそうはいかなかった。
周りの大人達が求めている"普通"と異なったことをすれば、「常識的に考えてちょうだい」の一言で一蹴されてしまった。

そんな生活にほんのちょっと葛藤はある。それなりの会社に勤めて、それなりに仕事をこなし、それなりに友達と遊ぶ…そんなそれなりの生活はできているんだけど何か足りない気持ちが常にある。

幼い頃の私が今の私をみたら「つまらない人だな」って言うだろうな

「人は一人ひとりが特別な存在だ」とか漫画やドラマで誰かさんがよく言うけど、少なくとも私は、私自身が幼い頃に憧れた「特別な力を持った人」にはなれていない。至って「普通」の成人女性だ。
もし、タイムマシンが発明されて幼い頃の私が今の私をみたらどう思うだろうか…間違いなく「つまらない人だな」って言うだろうな…なんて思ったりもする。

何よりも自分自身が一番嫌がっていた「普通の人」を目指して生きているのがおかしくて不思議だ。「普通」っていうものが一体何かなのかわからないままだし、この先も答えが出るかどうかなんてわからないけど「普通でいい」と思うにはまだまだ時間がかかりそうだ。