「自分の今までの経験が唯一無二の経験だと認識し、社会を良くするために文章を書き続ける」
2021年の目標なんて、これ一択である。
コロナ禍で孤独になり、自分の生きる価値を考えた
2020年は新型コロナウイルスが世界的に広がり、おうち時間が多くなった。私のおうち時間に対しての感想は「孤独」であった。
大学を卒業して一般企業に勤めることになった私は、縁もゆかりもない田舎に予想外の配属となり、一人暮らしを始めた。会社の人たちはみんな優しくていい人たちで、その土地も嫌いではないのだけど、親も友達も彼氏もいない土地での一人暮らしはやっぱり寂しい。
しかも車を持っていない私は行動範囲が狭く、公共交通機関もそこまで発達していない地域なので、基本的に徒歩か自転車で行ける距離しか移動できない。
それでもコロナ前は足しげく実家に帰る機会を増やして人とのつながりを保ち、気丈にふるまっていたが、コロナ後はそれが一切閉ざされてしまった。知り合いのいない土地での巣ごもり。同じ部署の人は、私以外は家に帰れば奥さんなり子供がいてそこまで寂しそうではないが、私だけ一人。寂しくないというほうが嘘であった。
一人で考えこむことも多くなって、なんで私だけ誰とも会ってはいけないんだとイライラしたり、悲しくなったりした。
そんな感情が膨らむと、段々と自分に牙が向いていくのが私のお決まりの思考パターンだ。こんな人生、生きていたって意味がない。私には価値がない。こんなどこにでもいるような人間、世の中にいらない。私という人間には生きている価値があるほどの際立ったものがない。
過去の経験すべてが自分の価値だと振り返り始めた
そんな感情を紛らわせるために、本や映画など色々なコンテンツを消費した。
その中でも特に期待を寄せていたのは、現在話題になっている「バチェロレッテ」だった。
バチェロレッテとは、1人のハイスペックな女性を17人の男性が奪い合うという恋愛リアリティーショーである。10月に配信が始まり、それからというもの配信の日当日にベッドで寝転びながら見るようになった。
主人公の福田萌子さんの生き方、考え方に賞賛が集まっているが、特に私が心打たれたのは、不倫した経験を告白した参加男性に対して、萌子さんがかけたひと言である。
「全てを聞いた訳じゃないから何とも言えないけど、ひとつだけ言えるのはその“経験値”を持ってるよねってこと」
びっくりした。心が軽く、温かくなっていくのが分かった。不倫と言う一般的には社会で受け入れられない行為でも、それを“経験値”として捉える考え方。「心が打たれる」とはまさにこの時のためにあるのだと思った。自分にはない考え方だった。
いいことも悪いことも、経験したことは全て“経験値”になるんだ。その“経験値”の積み重ねは唯一無二の私の歩んできた人生になっていくんだ。私、どこにでもいるような人間じゃないんだ。そもそもどこにでもいるような人間なんていないんだ。私と言う人間は、経験は、人生は、唯一無二のもので、価値があるものなんだ。
そこからというもの、私は自分自身の唯一無二の経験を洗い出す作業をしている。留学に行って多様性を肌で感じたこと。様々な人種差別をこの目で見てきたこと。女性として社会からのジェンダーロールの圧力にもやもやしたこと。専門職に就いて仕事で考えさせられた地球環境のこと。
私にしか書けない文章で社会をいい方向に進めたい
この唯一無二の経験や知識を通して、私は人を救い、社会を変えることが出来るのではないか。かつての自分と同じ悩みやもやもやを持っている人に私の経験をシェアして共感して頂き、社会へ問題提起を行う。その問題に多くの人が問題意識をもつようになり、社会がより良い方向に進んだら、これほど幸運なことはない。そう考えたのだ。
もうすぐ洗い出しが終わる。
洗い出した経験を使って、来年は私にしか書けない文章を書いていく。その文章を通して、人を救い、社会をより良い方向に進める。これが私の、2021年の目標だ。