例えば、明日1日、人生で一番の運を使ったとして、BTSのメンバーが颯爽と通り過ぎても、福山雅治が路上ライブをしていても私は気づけないと思うのだ。

誤解しないで欲しいが、決して彼らに魅力がないと言いたい訳では無い。彼らにファンが多いことも知ってるし、彼らは「イケメン」だ。

では、一体「イケメン」とは何なのだろうか。その尺度や定義がとても曖昧で、なおかつ各々の感覚と、恐らくメディアの印象や、使い勝手の良さによって左右されている。私はそんな不確かな「イケメン」を「イケメン」と呼びたくない。

ゲイ雑誌の「イケてるメンズ」が「イケメン」の起源らしい

イケメンは、日本語で「魅力的な人、特に面貌が魅力的な人」の事を指す俗語である。
ネットの辞書で調べると、その造語が使われはじめたのは1990年代頃らしい。ゲイ雑誌の「イケてるメンズ」からというのが一応「イケメン」の今のところ分かっている起源らしい。恐らく、彼らの言う「イケメン」はなんとなく想像がつく。

その後、女性向けファッション誌に「イケメン」の特集コーナーができ、「イケメン」が女の子にも広がっていく事になる。すると、どうだろうか?
多分、先程までのイケメンとは違う「イケメン」像が出てくるのも頷けよう。

人の好みは千差万別で、時代の流れともに「イケメン」も変わっていく

そして、もちろん想像がつくことがあっても、人の好みは千差万別である。人の性格が一人一人違うように。
また、時代の流れともに「イケメン」も変わっていくのである。
今は、「ぺ」から始めて何度目かの韓国ブームであるらしい。あるらしいというのは、私があまり興味が無いせいでもあるのだが、好きな人は好きなものである。
特に、10代の子はアイドルブームも相まってか、韓国アイドルの中性的な顔立ちが好みらしい。私にはグループに何人いようが同じ顔立ちならば同じ顔にしか見えないのだが…

男性の男性の好み、女性の男性の好み、そして、その人自身の好み、時代、ややこしいことこの上ない。つまり顔がよければいーんだろ!と投げやりになって理由を ※つまりイケメンに限る と一言で投げ出したい気持ちも分からなくもない。

イケメンとは行動についての倫理観も伴ってくる

イケメンはその言葉の意味にして、やたらと付加され過ぎている気もする。言葉にマルチタスクを強いていると言うべきだろうか。

イケメンだからカッコイイ
イケメンだからダンスも上手い
イケメンだから歌もうまい
イケメンだから性格もイケメン

上3つはまだしも、性格もイケメンとなると…?が浮かぶ
だが、意味は分かってしまうのが、この「イケメン」という言葉の恐ろしいところなのである。
そう。イケメンとは行動についての倫理観も伴ってくるのである。イクメンなどが分かりやすい例だろうか。

その点、美人は簡潔で分かりやすくていい。
日本人の顔を集めて作ったいわゆる「平均顔」というものがある。黄金比とまでは言わないが、平均顔に近い顔が美人というのは分かりやすく言えよう。
北川景子さん、新垣結衣さん、佐々木希さん
また、可愛い、セクシー、という美人とは違う方向性の言葉の違いもよくできていると思う。女性からしたら悲しいかな年齢でだんだん、そのジャンルが変わってきてしまうことはあるけれども、美人は変わらず美人だと言える。

脱線したが、「イケメン」には顔のよしあしから男女それぞれの好み、時代によって変わる好み、それから行動のよしあしまでもが含まれているということが何となくわかってもらえたのではないだろうか。

もう「イケメン」という言葉に頼るのは限界なのでは?

そしてここで、二次元というフィルターを通すと、さらに面白いことが分かる。二次元ではむしろ、イケメンでないキャラクターを見ることの方が少ない。もちろんキャラクターの人気を出すためには、顔がかっこいい方がよいし、なおかつそれが主人公であったり、敵であったりと、重要な話が展開されるキャラクターであればあるほど、キャラクターの人となりが見え、それに対する行動が分かる。例えば、暗い過去を背負っていたり、突然環境が変化してしまったり、とかだ。こうなると、キャラクター性が理解できて、なおかつ勝手に同情したりして好きになってしまう。

二次元も罪なものである

そして、男女の「イケメン」への違いも二次元からこう、推察出来ないだろうか?
男性の「イケメン」は物的証拠 つまり 凶器(顔、スタイル、声)である
女性の「イケメン」は状況証拠 つまり 犯行に至るまでの動機や環境 (辛い過去や柵、周りの急激な変化、紳士的な行動)である
と…それにさらに人それぞれの好みの顔や性格、ファッションなどあるのだから、私はもう「イケメン」という言葉に頼るのは限界なのでは?と思う。

どこからか聞こえる、
「あ、この人イケメン~」
という言葉にいつか怯えなくなる日がくると信じて。