2020年、私の人生がガラリと変わった。
今まで関わっていた人たちとの間に距離ができ、どこにも行けない日々で、私はコロナ鬱になった。
やらなきゃいけないことはあるのに、やりたくない。できない。
そんな自分を許すことはできず、ただ罪悪感を感じ、自己嫌悪に陥った。
目標だったダンスのイベントがなくなり、リハビリを中断してしまった
私を一番苦しめていたもの。
それは、リハビリのモチベーションが無くなり、リハビリを中断してしまったことだった。
私はダンサーだ。
一年半前、踊っている最中に大きな怪我をし、夏に手術を受け、1年間という長いリハビリ生活が始まった。
このリハビリというのは、私にとってもの凄く過酷なものだった。
筋肉は簡単にはつかないくせに、落ちるのは早い。
どれだけ頑張ったって、少しサボればすぐに元通りになってしまう。
何ヶ月もの期間、私はモチベーションをずっと維持することはできず、一進一退、時に一進二、三退を繰り返した。
本来ならば5月が完全復帰のはずだったのだが、目標にしていたダンスのイベントが全て無くなり、そしてついに、私は頑張る理由を完全に失った。
そんな真っ暗な日々の中で、あるアイドルグループに出会い、私の人生が変わり始めた。
世界的人気を誇る、韓国の某アイドルグループだ。
「このグループはみんながセンターに立っている、主役だ」
出会いはあるドラマだった。
自粛中に韓国ドラマを観漁っていた私は、そのグループのメンバーの一人を、あるドラマで知った。
「この子が歌って踊っているのか。想像できない、、、」
そう思い、私はYouTubeで調べ始めた。
K-popダンスを食わず嫌いしていた私は、その時初めて、まともに彼らのパフォーマンスを観た。
その時の感情は今でも鮮明に覚えている。
「なんでこんなに揃っているんだ。こんなに人数がいるのに、全体の威力はもの凄いし、スキルの差も全然感じない。このグループはみんながセンターに立っている、主役だ」
高校時代の厳しい部活の環境でダンスをやってきた経験から、誰かと踊り、一つになるということは、とても難しく大変なことだと思っている。
だからこそ、このグループのパフォーマンスの凄さをとても感じたのだろう。
様々なパフォーマンスを観漁り、彼らのキラキラしたステージの裏にある、ものすごい量の努力が見え始めてきた。
私の中の “努力” の概念がぶち壊された
そんな時、あるファンが作ったグループの歴史がまとめられた動画を観た。
そこでは、あのパフォーマンスを一つ作るために彼らがかける時間、ハイレベルな踊りをみせるために一人一人が今までどれだけの苦労を重ねてきたかが述べられていた。
練習量を聞いたとき、正直空いた口が塞がらなかった。衝撃だった。
その中で特に一番驚いたことは、ダンスが苦手なメンバーがいたことだった。
私は信じられなかった。
彼らのパフォーマンスを観たときに、誰が下手だなんて、全く思わなかったからだ。
全員上手い。バケモングループだと思った。
すごい努力をしているんだろうなあ、、、と思ってはいたけれど、彼らの実際の努力は私の想像を優に超えていた。
私の中の “努力” の概念がぶち壊された。
“できないこと” を “できる”ようにするために、こんなに頑張っている人がいる。
今まで、リハビリを “頑張っている” と言っていた自分がとても恥ずかしくなった。
そして、彼らに出会って、踊ることの素晴らしさにもう一度気づいた。
私も “踊る“ ことで、彼らと繋がっていたい。共通項を持っていたい。
そう思い、ダンスに復帰することにもう一度覚悟を決めたのだった。
大好きな彼らと、ダンスで繋がれていると実感できる毎日が幸せ
あの日から私は、リハビリを毎日続けることができている。
彼らのダンスを完コピして踊れるくらいまで、身体が戻った。
大好きな彼らと、ダンスで繋がれていると実感できる毎日がとても幸せだ。
彼らを想いながらリハビリをしたり、踊ったりする時間は、私にとってかけがえのないものになった。
一緒に頑張っている、私はそう思える。
遠い存在であるはずの彼らが、ちょっとだけ近くに感じられる。
どれだけしんどくても、辛くても、「彼らの方が辛い思いをしている。こんなの全然辛くない」と思い、自分を奮い立たせている。
リハビリが辛くて泣いてばっかりだった日々を過ごしていたのに、私はあの日から泣いていない。
彼らのおかげで、私は強くなれた。
真っ暗な闇の中にいた私を、引っ張り出してくれた。
感謝してもしきれない。
彼らがいるから、私は今日も頑張ることができる。
頑張り続けることができる。
彼らに、出会えてよかった。
私を救ってくれた彼らと、私は今日も生きていく。