中学生くらいの頃、今思えば思春期だったのだと思うけれど、「自分は普通じゃない、変な奴だ」と思い込んで、それはそれは気に病んでいた時期があった。
きっかけははっきりとは覚えていないが、気に入っていた服を友達にダサいと言われたとか、ちょっとした行動を笑われたとか、そんな小さな出来事の積み重ねだったように思う。
「自分は変な奴」の呪いにかかった私は、人から迷惑がられているのではないか、陰で笑われているのではないかと不安になり、自信をなくしてどんどん暗く消極的になった。暗黒時代というやつだ。
自分は変な奴。低い低い自尊感情は、突然地を突き抜けた
それから数年のあいだ、どうやったら「普通の人」みたいに振る舞えるのか、何故自分はこうも陰気で変な奴なのかと悩みに悩み、できるだけ空気のように目立たずにいよう、自分は変な奴だから変に目立つと嫌われる、と常に気配を消して過ごしていた。
だがあるときふと、「自分が普通じゃないなんて考えていること自体が自意識過剰だ」ということに気づいて、天地がひっくり返るような思いがした。
自分はダメな奴、自分はダメな奴、と毎日思い詰めて地の底に落ちていた、いや、もはや地にめりこんでいた低い低い自尊感情が、ついに地面を突き抜けて、「自分が周りと違う人間だなんて思い上がりも良いところだ、こんな自分なんてただの凡人に違いないのに!」という考えに突然昇華したのだった。
他人の目を気にして、自分の行動をいちいち振り返るのはやめた
確かに私は見た目も地味かもしれない。人見知りで他人と上手く喋れないかもしれない。
でもそんな人、私以外にも世の中にごまんといる。
なにより、私がどんな行動をしようと、周りの人は私にたいして興味などあろうはずもないのだ。自分のひとつひとつの行動をいちいち振り返って「恥ずかしい...」などと考える方が自意識過剰ってもんだ。
誰かと仲良くなりたかったら、他人の目から見た自分のことを気にするより、自分がされて嬉しいことを他人にするほうが良い。自分も他人も同じ普通の人間なのだ、自分が嬉しいことは大抵の人も嬉しいだろう。少なくとも好意は伝わるはずだ。
急に視界がばーんと広がったように感じた。かくして私の暗黒時代は終わったのだった。
あっけらかんとした今の私を、私は結構気に入っている
私はこの開き直った考え方がけっこう気に入っていて、わりと今でもこの考えをベースにして生きている。
どこまでいっても私は凡人。どうせ誰も見てないんだから胸を張っていればいい。
低すぎる自尊感情が突き抜けた結果たどり着いた、このあっけらかんとした今の自分が、私はけっこう好きだ。