特集:わたしの感性

マッチングアプリをスワイプ。「この人だ!」センサーは役立たず

わたしの感性

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学生の時は、大人になればこの人だ!と思う人が突然現れて、とんとん拍子で付き合って結婚する。そんなもんだろうと思っていた。だけどいろんな男性と出会っていく内にそんなに甘くないという現実を突きつけられた。

マッチングアプリを指で振り分けるのが、休日のモーニングルーティン 

社会人になって6年、辛酸はそこそこ舐めてきたけどまたこんな思いをする事になるなんて。しかも男と女の関係で!恋愛とは楽しいものではなかったのか!そんな厳しい現実、知りたくなんてなかったのに。肩にずしんと重しが乗ったようだ。肩こりとはこうした社会の厳しさがのしかかって引き起こされるものなんじゃないだろうか。今朝も重だるい。

小さな一人暮らしのアパートでマッチングアプリを起動する。いい人はいないかチェック。これが休日のモーニングルーティンだ。
この人はなし、スワイプ、いい人発見、いいね!

アプリは便利だ。部屋に引きこもりながらでもいい人ダメな人を振り分けられる。だけどこの無機質な指の操作も最近は嫌々やっている。正直、デートも面倒くさい。どうせ「今日もハズレだった」がオチだから。でもそれじゃダメだ。自分の気持ちに鞭を打った。あきらめてしまえば、ずっとこのアパートで一人、同じ日々の繰り返し。だけど、あと何十回この工程を繰り返せばいいのだろう?終わりが見えなくて虚しさが込み上げてくる。

自分のピュアな感性は、社会に揉まれていく間にすり減った

スマホを手放して、ベッドにドサリと身を投げた。仰向けになって「いい人現れないかなぁ」と天井に向かって嘆くと、つけっぱなしのテレビから白雪姫の「いつか王子様が」のメロディがが流れてきた。恥ずかしさのあまり手で顔を覆う。いい歳をして、未だに王子様が現れる事を夢見ているのだろうか。それともそれらが呪いとなって私の心に貼り付いてしまっているだけなのか。

今更白雪姫だとか、少女漫画のような道の角でぶつかって恋に落ちるみたいな恋愛を夢見ているわけではない。でもそうであったならどれだけ楽だろうか。まぁ、私はもうそんな物語の主人公になれそうにない。自身のピュアな感性は社会に揉まれていく間にすり減り、代わりに冷徹な感性が磨き上げられた。「この人だ!」センサーはポンコツと化して、どんな人と出会っても機能しないどころか、「この人はちがう」センサーばかりがビリビリと反応するのだ。

まともな人がいなくて嫌。それ以上にジレンマに陥る自分自身も嫌

いつかいい人がと願うのに、この人だ!がわからない。この人じゃない。ばかり。まともな人がいなくて嫌になってくる。でもそれ以上にジレンマに陥る自分自身も嫌だった。社会で誰よりも惨めな私。こんな私を救ってほしい。もう何でも良い。ベランダの窓を突き破り部屋に侵入でもして私をどこかに連れてってよ!なんて、自暴自棄になって妄想が一人走りし始めた。

その時スマホが鳴った。マッチングアプリの通知が来ている。「んんー頑張るか!」と言いながら手を伸ばしてスマホを取り、窓を見た。窓は汚れで外がぼやけて見えた。掃除をしておくか。いつかいい人が突入してきた時の為に。

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