最近、彼氏と別れてしまった。別れたことに未練はないが、元彼の言葉がずっと自分の中で引っかかっている。
「個性が強い人が好きなんだよね。自分の意見をしっかり持っている人の話を聞くの面白い」

言われて考えた「私って?」 自分の個性もなにもわからなかった

私は自己主張が強いわけではなかった。話をするときの態度もどちらかというと受け身だし、明確な自分の意見もなかった。言われるがままに、その言葉が自分の中でぐるぐると回転する。
私はどういう人なんだろう。どういう個性を持っていてどういう思考で生きているんだろう。今まで自分について真剣に考えたことがなかったので、さっぱり分からなかった。
私は自己分析を始めることにした。自分がどういう人なのかを知りたかったから、様々な心理テストを受けた。

質問を前に固まった結果は「何者でもない」と突きつけられたようだった

「集団の中で、活発に自分の意見を述べる方である。」
「人といるよりも一人でいる方が楽しい。」
「何事も前向きにとらえることができる。」
たくさんの質問をこなしていかなくてはいけなかったのだが、私は質問の前で固まってしまった。「集団の中で活発に自分の意見を述べるって、その集団がどういうメンバーかにもよらないか?」「一人でいたいときも誰かといたいときもあるよな」「前向きなときもあればそうでない時もあるな」
質問を答えようにも、私はあまりにも二面性が強かった。その時の状況や周りにいる人、自分の気持ち次第で、その回答はころころ変わってしまう。
結果を見てもやはりバラバラだった。外交的な思考の持ち主ですね。内向的な人ですね。統一感のない心理テストの結果を並べると、お前は何者でもないんだよと言われているような気がした。

二面性のない人なんていない 私は他の人よりも振れ幅が小さいだけ 

でも、二面性のない人なんて少ないのではないか、と思った。
常に楽観的な思考の持ち主の人、常に一人でいたい人。いるにしても、ごく少数なのではないか。人には多かれ少なかれ二面性があるということに気づいた。二面性を持つが、どちらの気分でいることの方が多いかによって、その人の性格が定義づけられるのではないかと思った。
私は、人よりも振れ幅が小さかっただけだったのだ。
ずっと明るいわけでもないが、ずっと暗いわけでもない。一人でもいたいし、人ともいたい。
他の人と比べたら、そういう相反する面を同じように持っている、それがきっと私なんだろう。

人はどうしても自分を型に入れたがる。明確な言葉で断言されたい。でも「絶対」を持つ人のほうが圧倒的に少ないということを知ってから少し気が楽になった。そのことを踏まえたうえで自分が何者なのかを考えると、真実にたどり着けるのかもしれない。